「努力しているのに結果が出ない」「自分を変えられない」──悩める人に贈る、たった1時間で人生を好転させる究極メソッド

ビジネス

公開日:2019/3/26

『迷路の外には何がある?
『チーズはどこへ消えた?』その後の物語』(スペンサー・ジョンソン:著 門田美鈴:訳/扶桑社)

 仕事、お金、健康、家族、恋人──。人は誰しも、かけがえのない大切なもの=チーズを持っている。だが、もしもそんなチーズが突然消えてしまったら……?

 2000年に発売された『チーズはどこへ消えた?』は、大切なものを失った時、人はどのように行動すべきかを説いた一冊。すぐに新しいチーズを探しに行ったネズミ、最初は戸惑っていたものの現状を打開した小人のホー、そして事態を受け入れられずに迷路にうずくまったまま小人のヘムの姿を通じ、変化を恐れない姿勢、そして変化を楽しむことの大切さを伝えてくれた。

「自分のチーズが大事であればあるほど それにしがみつきたがる」
「古いチーズに早く見切りをつければ それだけ早く新しいチーズがみつかる」
「早い時期に小さな変化に気づければ やがて訪れる大きな変化にうまく適応できる」

 心に刺さる名言が詰まったこの本は、メディアでもたびたび取り上げられ大ヒット。国内400万部、全世界累計2800万部のベストセラーとなった。

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 それから18年、小人たちのその後を描いた続編『迷路の外には何がある?』が登場した。今回の主役は、前作で変化を受け入れられなかったヘム。チーズが消えたことを理解しつつも、どうすればいいかわからず、迷路に取り残された小人だ。実は、前作の読者の中には変化に対応できないヘムに自分を重ねた人も多かったらしい。そもそも人間には、変化よりも現状維持を選ぶ「現状維持バイアス」という心理作用がある。勤務先の給料や人間関係に不満があっても、「これまでの頑張りが無駄になるんじゃないか」と転職に踏み切れない。「今までこのやり方でやってきたから」と仕事や生活のスタイルを変えられない。誰しも、ヘムのような状況に陥った経験があるのではないだろうか。

 続編では、そんなヘムが新たな仲間ホープと出会い、困難な状況=迷路を抜け出すまでが描かれる。そこでキーワードとなるのが“信念”。信じる道を一心に突き進むことは、一般的に美徳とされることが多い。しかし、本書では古い信念は時に足かせになると説いている。

 迷路の中でホープと出会ったヘムは、彼女からリンゴを差し出されるが最初は「こんなもの食べられない」と拒否してしまう。しかし、かじってみたらなんとジューシーでおいしいことか。「食べるのはチーズだけ」と思い込んでいたが、その信念は間違っていたと気づくのである。そしてホープとともに、迷路の外にある素晴らしいものを探しに行こうと決意する。今までしがみついていた信念を捨てたことから、新たな道が開けていくのだ。

「あなたの足を引っぱる信念がある あなたを向上させる信念もある」
「あなたは考えを変えることができる 新しい信念を選びとることができる」
「役に立たないことは捨て去ろう」

 先細りする業界で、今までどおりのビジネスを展開しても成功にはつながらない。やり方が間違っているのに、「うまくいかないのは自分の努力が足りないせいだ」と同じ方法を続けても意味がない。人間関係に悩んでいるなら、別の場所に新たな交友を求めればいい──。わずか1時間ほどで読み切れてしまう本だが、目からウロコがぽろぽろ落ちまくり。「自分を変えたいのに、次の一歩を踏み出せない」「努力が実を結ばない」と悩んでいる人にとって、これほど頼りになる本はないだろう。最後のページを読み終えた瞬間、新たな行動を起こすために走り出したくなるはずだ。

文=野本由起