使うのはフライパンだけ! 15分以内であっという間につくれる煮込み料理♪

食・料理

更新日:2019/3/28

『フライパン煮込み』(若山曜子/主婦と生活社)

 肉じゃがなどの煮物をつくったとき、残った煮汁をご飯にかけて食べたことがある人はいるだろうか。行儀が良いとはいえないが、私は小さい頃からこの食べ方が大好きだ。真っ白なご飯に旨みが詰まった煮汁が染み込み、えも言われぬおいしさとなる。ご飯にかけることができる「煮込み料理」は、きっと日本人の口に合うのではないだろうかと思っている。そんな煮込みを簡単に自宅でつくることができる料理本『フライパン煮込み』(若山曜子/主婦と生活社)を紹介したい。

 本書の著者は、パティシエやショコラティエとして活躍し、料理教室も主催する若山曜子さん。フランスで料理の仕事をして帰国後、フランス家庭でも定番の煮込み料理などを多数紹介している。こちらの本に掲載されているレシピは、どれも「フライパン」ひとつでできるものばかり。しかも、煮込み時間も5~15分程度とあっという間にできるものなので、日々忙しく過ごしている人にもおすすめだ。煮込み料理というとコトコト長時間かけてつくるものというイメージを持っていたが、本書を読んで他のどんな料理よりも手軽だとうれしい発見があった。特別な厚手の鋳物鍋なども必要なく、どこの家庭にもあるだろうフライパンで調理できるのも魅力だ。

 まず冒頭で紹介してあるのが、シンプルな基本の煮込み「鶏もも肉のマスタードクリーム煮」だ。著者によると、フライパン煮込みの一番の良さは、あらかじめ肉をしっかりと焼きつけられることだそう。鍋の口径が小さいと肉を重ねて入れなければならないが、口径の広いフライパンであればしっかりと焼いて焼き目をつけることが可能だ。焼き目の香ばしさは煮込んでいる間に旨みに変わるので、しっかりと肉のおいしさが生かされるという。フライパンであれば水分が飛ぶのも早く、トロッとした煮込みをつくりやすいのもメリットだろう。

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 しっかりと肉に焼き目がついたら、野菜と白ワインを加えて煮立たせ、他の材料を加えて蓋をして5分ほど煮込む。最後に生クリームを加えてとろみがつくまで煮詰めたら完成だ。見た目にも華やかなフランスの家庭料理が自宅で簡単にできてしまう。ご飯との相性もいいので、カレーのように一皿で食卓に出すのもいいだろう。他にも、パスタにかけたりパンを添えたりと、その日の気分で主食を選ぶことができるのもうれしい。家族や友人などにつくったら、きっとみんな驚くに違いない。煮込み料理の魅力は、多めにつくっておいて翌日温め直して食べてもおいしいこと。一晩置くことでさらに旨みが増し、よりおいしくなるなんてことも期待できるのだ。温め直す際には、水を足しながら好みのとろみ具合に調整すればいい。

▲鶏もも肉のレモンクリーム煮
(本書10ページ)

 レシピは、「シンプル」「肉」「魚」「野菜・豆腐・豆」「ごちそう」の5つに分けて紹介してあるので、その日手に入る食材からメニューを決めることもできるだろう。生クリームなどを使う洋風煮込みだけでなく、「豆腐とキムチのチゲ」や「台湾風ひき肉煮込み」「豚バラと大根の赤みそカレー」など、アジア風煮込みや和風煮込みなども多数掲載されている。休日や来客時などには、「かぶのひき肉詰めのドライトマト煮」や「ラムチョップのタジン風」などのごちそう煮込みをつくってみてはいかがだろうか。

▲豚バラと大根の赤みそカレー
(本書33ページ)
▲和風麻婆豆腐
(本書70ページ)

 本書には、煮込みに合うご飯のレパートリーも紹介してあるのでぜひ試してみたい。香ばしいナッツご飯やさわやかなレモンライス、にんじんピラフなど、どれもおいしそうで簡単なものばかりだ。我が家でも早速つくってみたのが「カリフラワーと桜海老のにんにく煮」。カリフラワーが主役の煮込みで、桜海老の旨みと油のコクが合わさり、パスタに絡めて食べたが大満足の一皿だった。どれも15分以内の煮込み時間でOKのレシピなので、仕事で遅くなったときでも活躍してくれるはずだ。今まで、煮込み料理に対してハードルが高く感じていた人にこそ手にとってもらいたいレシピ本だろう。

▲牛肉ときのこのハッシュドビーフ風
(本書50ページ)
▲鶏もも肉とさつまいものゴルゴンゾーラ煮
(本書31ページ)

文=トキタリコ