248番目の「新元号」はどうやって決定する? 知っておきたい日本のしきたりの全て

文芸・カルチャー

2019/3/27

『日本のしきたりがまるごとわかる本』(新谷尚紀:監修/晋遊舎)

 平成31年、2019年 4月30日に今上天皇が退位され、5月1日に皇太子殿下が新天皇に即位され、新元号が制定されます。週明けの4月1日に公表される新元号について、テレビやネットで予想合戦が繰り広げられていますが、この「元号」とは誰がどのように決めるのでしょうか。元号について知っておきたいこと、またこの機会に学んでおきたい日本人の風習、しきたりが紹介された1冊が『日本のしきたりがまるごとわかる本』(新谷尚紀:監修/晋遊舎)です。監修の新谷尚紀氏は、国立歴史民俗博物館・総合研究大学院大学名誉教授であり、日本の伝統行事や風習に非常に造詣が深い民俗学者です。

■新元号はどうやって決まる?

 元号とは和暦でいう「昭和」や「平成」など、年に付ける呼び名のことで、辞書では「年号」と同義です。日本で初めて元号が制定されたのは飛鳥時代の「大化」で、「平成」に至るまで247の元号が記録されているとのことです。慶応4年(1868)を明治元年としたときに、一世一元と決まり、1人の天皇に対して1つの元号を定めるということで在位中に元号が変わることはなくなりました。本書では元号と在位天皇の一覧表も掲載されています。

 元号の決め方は、昭和54(1979)年に成立した元号法に基づいています。責任者を務めるのは内閣総理大臣で、文学研究に従事する識者などから考案者を選出し、元号の候補案を提出させます。この候補案を、内閣官房長官らが検討し、原案を閣僚会議で話しあった上で元号が決定します。

 元号は、中国の古典から引用することと、漢字2文字の構成が慣例とされているそうです。縁起の良い漢字を組み合わせた2文字で、書きやすく読みやすいこと、これまで元号として用いられていない、俗用されていない(企業名、地名、商標などになっていない)ものであり、また明治(M)、大正(T)、昭和(S)、平成(H)以外の文字や頭文字から選ばれるとの見方も強いそう。

■日本ならではの「しきたり」を知ると、季節や日々のうつろいが豊かなものになる

 本書では、日本独自の神様や仏様、また自然の恵みや先祖の「みたま」に祈り感謝することを行事や行動として伝えてきた、日本独自の「しきたり」も紹介されています。

 農業や漁業が生活の中心だった時代の日本は、四季の変化と暮らしが密接に結びついていました。睦月、如月、弥生…という、12カ月の「和風月名」は、どれも美しいものです。また節句や雑節、二十四節気や七十二候は、中国から伝わり、独自の進化をとげたものだそうです。節分、彼岸、土用などはよく知られていますが、季節を表す言葉は、美しいだけでなく実用的でもあったことがわかります。本書では、十干十二支、陰陽五行、六曜、九星についても、詳しく学ぶことができます。

 最終章では、妊娠から冠婚葬祭まで、人生節目で迎える儀式が紹介されています。人前で恥をかかない作法やマナーを学ぶとともに、日本ならではの歴史の中で生まれたさまざまな「しきたり」をぜひ知っておきたいものです。年中行事、歳時記カレンダーも掲載されている本書は、日本の素晴らしさを再発見し、毎日の暮らしを豊かにしてくれる1冊です。

文=泉ゆりこ