『バカとつき合うな』公式便乗本が登場――読売テレビ西田氏・芸人マキタスポーツ氏による書籍『バカともつき合って』

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更新日:2019/3/29

『バカともつき合って』(西田二郎、マキタスポーツ/主婦の友社)

 堀江貴文氏・西野亮廣氏共著の『バカとつき合うな』(徳間書店)という書籍を、みなさんはご存じだろうか。世の中にはさまざまな“バカ”がはびこっており、“悪いバカ”とつき合っている限りみなさんの自由は奪われ、無駄な苦労をさせられてしまう――その一方でみなさん自身は、小利口に未来のことを気にして素早く行動できないような人間になるより、やると決めたことはすぐに行動に移すことができるような“いいバカ”であるべきだ、と説くのが『バカとつき合うな』である。

 この書籍は以前ダ・ヴィンチニュースで紹介したことがあるので、今回はこれくらいの言及にとどめておこう。本稿でみなさんに紹介したいのは『バカともつき合って』(西田二郎、マキタスポーツ/主婦の友社)である。書籍タイトルがどことなく似ている両書籍。実は『バカともつき合って』は、『バカとつき合うな』(以下、本書)の公式便乗本なのである。

『バカとつき合うな』を「常識や価値観を異にする“バカ”とはつき合うな」と述べる書籍であるととらえた読売テレビ編成局チーフプロデューサーの西田二郎氏は、「異常識の“バカ”とつき合うことで新しい考え方を手にできることもあるのでは?」という考えのもと、芸人・ミュージシャンのマキタスポーツ氏を誘って本書を著したのだという。

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 本稿ではそんな西田氏とマキタ氏の思う“バカ”とのつき合いについてみてみようと思う。

■バカウイルスに接触せよ――マキタスポーツ

 いつからか自分の箱庭をつくり、あらゆる人に対して猜疑心をいだきつつ、いわばケッペキ的に生きてきたというマキタ氏。しかし結婚を機にそれまでのケッペキ的な生き方ががらりと変わったという。

 マキタ氏にとって結婚は、自分の箱庭の中に“異文化”を受け入れるようなものだったそうだ。奥様をバカ呼ばわりするわけではないが、価値観を異にするものをすべて“バカ”と呼ぶなら、自身の世界の中に“バカウイルス”を受け入れたということになる。

 自分だけの世界に閉じこもってじっとしているのではなく、そこから外に出ていくことで考え方の異なる人との出会いがある。つき合う相手をケッペキ的に選別しすぎなければ、常に新しい価値観なり、考え方なりを自身の中にインストールでき、自分を進化させられる。“バカ”と呼ばれる人がいなければ、まじめなコミュニケーションしか成立しないが、“バカ”がいれば、まじめさもおふざけも既知の情報も未知の情報も一通りそろった豊かなコミュニケーションをとることができるのではないだろうか。マキタ氏は本書の中でそう語っていた。

■関わりたくない“バカ”は口封じして巻き込め――西田二郎

 理屈をこねて相手の感性をつぶしてしまう人、言葉ばかりで行動を起こせない人、やらない理由を探して人の行動を邪魔する人――西田氏はこのように“バカ”を定義した。たしかに、こういった人とはつき合いたくないかもしれない。

 しかし西田氏は、こういう人も自分の起こす行動に巻き込んでしまいたいという衝動に駆られることがあるのだという。「やらない理由なんて言わないよね、言わないでね」と口を封じて、無理やりにでも。

 さらに西田氏は、無関心であることも“バカ”の一種だと述べている。「理屈ばかり――」の“バカ”を無理に巻き込むのと同様に、自分の無関心な領域とも積極的にかかわるべきだ、と言いたいわけだ。

 無関心なところにも接触していくことで、よくも悪くも、これまで自分にとって未知だった領域に出会うことができ、抱くことのなかった感情にも出会えるようになるのだという。

 自分の世界に他人が入りこむのがイヤだという意味で生きづらさを感じていたマキタ氏、自分の世界にだれも入ってきてくれないのがイヤだという意味で生きづらさを感じていた西田氏。いずれにせよ“バカとつき合う”ことで新たな価値観に触れ、自身の生きづらさを克服してきたのだと言えそうだ。

 みなさんが“バカ”とどのようにつき合っていくか、あるいはつき合わないかは、本書を読んで決めてみるのもよいのかもしれない。

文=ムラカミ ハヤト