運動だけでダイエットできるはウソ!? 医師が教える唯一の痩せる方法とは

健康・美容

更新日:2019/4/10

2000人の終末期患者を診療した医師が教える 1分でも長生きする健康術
『2000人の終末期患者を診療した医師が教える 1分でも長生きする健康術』(大津秀一/光文社)

 誰もが、健康体のままで、少しでも長生きをしたいと思うだろう。しかし近年の健康ブームにより、健康術情報はあふれ返っていて、「いったい何を信じて、実践すればいいのかわからない」という方も多いだろう。

 そんな方におススメの1冊が、『2000人の終末期患者を診療した医師が教える 1分でも長生きする健康術』(大津秀一/光文社)だ。

 現役医師(緩和ケア医)による本書にはまず、健康に関する「怪しい話に惑わされないための知識」がまとめられている。次に、「1分でも長生きする健康術」として、ダイエット、認知症防止他、健康体を維持するためのエビデンス(科学的根拠)に基づいた食事・運動法などが紹介されている。

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 他に、「がんの予防・診断・治療についての信用できる情報」「生活習慣病など身近な病気の正しい知識」「死と健康、医師とのかかわり方」なども教えてくれる。

●健康の基本、自分のBMI(体格指数)と適正体重は知っていますか?

 では、「1分でも長生きする健康術」をいくつか紹介しよう。

 まず、「適正体重を知る」ことが重要だ。そのために知っておくべきなのが、「BMI(体格指数)」だ。

1)BMIの割り出し方は以下の計算式だ。
 体重×10000÷(身長cm×身長cm)=BMI

例)体重69kg 身長178cmの人の場合は
 69×10000÷(178×178)=21.77755となるのでBMI=22となる。

 BMIの標準は22なので、この人の場合は、「適正体重の持ち主」となる。
 これにより、

2)あなたの適正体重の求め方は以下の計算式となる。
 (身長cm×身長cm)×22÷10000=適正体重

 計算がめんどうという人は、インターネットに計算してくれるサイトがあるので活用して、とにかく自分のBMIと適正体重を知り、現状が標準・太り気味・太り過ぎ、もしくはやせ気味・やせ過ぎのどれなのかを把握しよう。

 著者によれば、BMIと適正体重では、「標準~少し太り気味」くらいがベストだという。

●太り過ぎとやせ過ぎ、さて、より危険なのはどっちだろう?

 ここで知っておくべきは、死亡リスクが高い人についてだ。おそらく多くの人が「太り過ぎがいちばんハイリスク」だと思うだろう。

 しかし著者は、「やせ過ぎのリスクはそれを上回っている」と警告している。

 もし、あなたのBMIが「14~18.5」というやせ過ぎを示す数値なら、「30~39.9」という太り過ぎの人よりも危険だと考えた方がいいそうだ。

 そこで、やせ過ぎ、太り過ぎの人が見直すべきは「食生活」ということになる。

 では、太り過ぎの人(BMI30以上の人、食事量の多い人)のダイエット法として、効果がいちばん高いのはどのような方法なのか。

 著者は、運動だけで痩せられるということはない、としたうえで「痩せるための唯一の方法は、食事の見直しです」と記す。

●アメリカで大人気のダイエット食事法「DASH食」「地中海食」「MIND食」

 本書には、「栄養バランス」をキーワードにした、健康&ダイエットのための「DASH食」「地中海食」「MIND食」という、アメリカで人気の3つの食事法が紹介されている。

「DASH食」は、野菜、果物、全粒穀物、魚、鶏肉を中心にした「高血圧予防のための食事法」で、『U.S. News & World Report』では、ダイエット食として7年連続人気第1位を獲得しているそうだ。

「地中海食」は人気第2位で、同じく高血圧予防・ダイエットに効果があり、野菜、果物、豆類、全粒穀物、魚、鶏肉の他、オリーブオイル、ワインなどを摂る。

 人気第3位の「MIND食」は、ダイエットと「認知症予防」のための食事法だ。この食事法では、食品を「健康な食品」「不健康な食品」に分けて摂取を考える。本書にはそのリスト分類や1日の摂取量の目安などもまとめられているので、興味がある方は参考にしていただきたい。

 また本書には、各種の食品に関して、「エビデンスに基づいた食品ガイド」もあるので、宣伝要素を省いた客観的で科学的な根拠のある食品情報を入手することもできる。

 健康本の多くは、ある特定の製品を売るための戦略と結びついていることが多い。その点で本書は、「いかなる企業・商品宣伝とも無関係」であることが宣誓されており、「まゆつば情報」を警戒する必要がないのが大きな特徴であり安心材料だ。

 最後に、「がん予防」について少し触れておこう。本書には、「がん予防12か条」についての解説があり、著者は特に、以下についてがんリスクが高いと警告する。

・喫煙 → 男女ともにすべてのがんに対して高リスク
・過度の飲酒 → 男女ともにすべてのがんに対して高リスク

 一方で、がん予防にいいものとしては、

・運動 → 結腸がんや乳がんリスクを下げる
・食物繊維・カルシウム・にんにく・牛乳 → 結腸がんのリスクを下げる

 などの情報が記されている他、がん予防に必要な「ウイルス対策」の詳細もある。

「人生100年時代」を1分でも長く楽しみたい、本書は、そう願うすべての方の必携ガイドとなってくれるだろう。

文=町田光