コミュ障でも絶対受かってしまう!? 就職活動で面接官を攻略する秘策を一挙紹介

ビジネス

更新日:2019/4/9

『コミュ障のための面接戦略(星海社新書)』(曽和利光/星海社)

 筆者自身の体験を振り返ると、新卒の就職活動は、残酷なまでに“コミュ力勝負”のゲームである。大学の知り合いを思い浮かべてみると、やはり早い時点で大手企業から内定をもらうのは、コミュニケーション能力が高く、人当たりのいいヤツらばかりだった。反対に、仲間内で優秀だと評価されていても口下手な人間の場合は、どうしても面接で苦戦してしまう…。こういったタイプの就活生は、どうすれば正当に評価されるのだろうか。

 本稿で紹介する『コミュ障のための面接戦略』(曽和利光/星海社)は、コミュニケーションを苦手とする“コミュ障”にスポットを当てた就活本だ。著者は、元リクルートの曽和利光氏。本書は、優秀な“コミュ障”を落としてしまう日本の面接の問題点を指摘するとともに、そんな“ダメな面接”を逆手に取って、コミュ障でも受かるための攻略法――“面接ハック”を紹介している。“どんな面接でも受かってしまう”という面接ハックは、これまで約2万人を面接してきたという曽和氏だからこそ書けるもの。早速その内容を見てみよう。

■実は精度が低い!? 「面接」という採用手法

 著者が“穴だらけのシステム”だと指摘するのは、“フリートーク面接”と呼ばれる面接だ。面接には、あらかじめ質問と評価基準が決められている“構造化面接”と、面接官がその場で質問を決めていく“フリートーク面接”がある。後者は、質問も評価基準も面接官によって異なるため、入社後に活躍しそうな人材を確実に見抜くことはむずかしい。そのことは、科学的にも証明されているそうだ。

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 だが、多くの日本企業は今までもこうしてきたからという理由で、このフリートーク面接を続けている。その結果、面接では「外交的で、情緒が安定しているように見える学生」が評価されやすく、その反対にコミュ障の学生は不利な立場におかれてしまう。だが、会社の中には、バックオフィス系や企画系など、むしろコミュ障でも向いているという職種もたくさんある。現在の採用スタイルでは、こうした職に適した人材を逃しかねないのだ。

■本当に受かってしまうから注意!? 禁断の「面接ハック」

 本書の後半は「袋とじ」になっているので、気になる方は本書で詳細を確認していただきたい。前述したようなダメな面接の実態を踏まえた上で、コミュ障が内定を獲得するための“面接ハック”を紹介している。

 たとえば、“「印象」をハックせよ”の項目では、学生を印象で判断してしまうダメ面接官の攻略法を伝授する。著者によれば、本質的な評価ができないダメ面接官は、「緊張してしまう人」を落としやすいという。緊張してしまうとコミュ障は、つい早口になったり、落ち着きなく手足を動かしてしまうことがある。そういった言動が目立つと、対人能力がないと判断されてしまうのだ。

 そのため、コミュ障の人には、「緊張していないように見せる」という印象操作が必要だ。すぐに効果が現れる方法は、「ゆっくり動く」「ゆっくり話す」「低めの声で話す」という3点。さらに、質問に回答する際に、前かがみにならないように気を付けたい。人間は、相手から熱心に求められると、無意識のうちにその相手を低く見積もってしまうそうだ。就活生が体全体で熱意をアピールすると、面接官はかえってその就活生を過小評価してしまう可能性があるというのだ。

 本書では他にも、コミュ障が陥ってしまいがちな失敗の対策や、就活生全般に通ずる面接の本質などを解説している。さらに、GD(グループディスカッション)についても、コミュ障に向いている“役割”などについて解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。本書は、企業にとっても、学生にとっても、“コミュ力”という評価を見直す貴重な1冊になるだろう。

文=中川凌