ねらった筋肉を確実に鍛える! 初心者にもわかりやすい本格筋トレメソッド

健康・美容

公開日:2019/4/9

『新しい筋トレと栄養の教科書』(岡田隆/池田書店)

 ボディビルダーのような体にしたいとは思わないけれど、無駄な脂肪のない締まった体や美しい体形は手に入れたい。筋トレの知識もなんとなくあるけれど、どんな種目を、どのぐらいの強度や回数で行えばよいのかといわれると、正確なところはわからない……。

 そんな筋トレ初心者にぴったりなのが『新しい筋トレと栄養の教科書』(岡田隆/池田書店)だ。著者は、日本体育大学准教授の岡田隆氏。日本オリンピック委員会強化スタッフを務め、ボディビルダーとしても活躍している人物だ。本書ではその岡田氏が「超効率的な筋肥大」にこだわったメソッドを、新しい視点から紹介している。

■「やればやるほど筋肉はつく」は嘘。鍛えるべき筋肉をねらい撃ちせよ

 何回も筋トレに取り組んだけれど、思うような効果が出なかった。そんな経験を持つ方も多いだろう。それはいったいなぜだったのか? 著者が出す答えは明快だ。「その理由はズバリ、間違った地図を使っていたから」

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 筋肉は鍛えれば鍛えるほど、つまり筋トレはやればやるほど効果が出る。そう考えている方は多いだろう。でも、それは間違いだ。

「鍛えるべきパーツを狙いうちし、適切かつ適量にいじめる」こと。筋トレでもっとも重要なのは、これだと著者は指摘している。

 たとえば胸(大胸筋)の場合、上部、中部、下部・サイド、中央の4つに分けてとらえ、それぞれの筋肉に刺激を与える種目を行い、各部位を鍛えるのが基本だという。さらに、大胸筋の中部ひとつをとっても、筋肉がよく伸びたところで強い負荷が加わる種目、よく縮んだところで強い付加が加わる種目、その中間域で強い付加が加わる種目があり、その特性を理解してトレーニングを行うことが、筋トレの効果を高めるためにとても大切になるという。

 そうした考え方に基づいた筋トレメソッドが、胸、肩、腕、腹、背中、お尻、太腿、ふくらはぎの8つの部位別に紹介されている。特徴的なのは、ひと目見るだけでトレーニングの実施法がわかるレイアウトになっていることだ。

 たとえば、胸を鍛える「ベンチプレス」の場合、

1 バーベルを胸のトップに下ろす
2 バーベルを肩の真上に上げる

 この2フレーズと写真だけで実施法を解説。そして左ページで筋トレを実施するときの「POINT」、安全性を確保するための注意点「Safty」、筋トレ効果をより高めるための「深掘」などが掲載されている。筋トレの実施法について細かく解説している本も多いなか、ここまでシンプルで、わかりやすい構成になっているのは、本書のなによりの魅力だろう。

■筋トレの重要ポイントは、食事と栄養管理

 筋肉を効率的につけるためにとても重要なのが食事だ。プロテインをはじめとするサプリメント、鶏胸肉やささみなど、ボディビルダーがよく摂っているようなものを食べればいいだろう……などと考えがちだが、筋肉を効率的に鍛えるために、あるいは脂肪を的確に落としていくために効果的な食事法は実際にあるもの。「タンパク質、脂質、糖質」からなる3大栄養素とビタミンやミネラルなどのうち、トレーニング前後にはなにか摂るべきなのかなどの具体的な方法を、管理栄養士・調理師の上村香久子氏の監修のもと解説している。

100点満点のトレーニングができたとしても、栄養と休養が50点しか取れなければ、トータルでも50点の効果しか得られません

 この言葉を胸に刻んで、毎日の食事や休養にも気を配ることが、筋肉を超効率的に鍛え上げていくことにつながっていく。「筋肥大&除脂肪レシピ」も紹介されているので参考にしてもらいたい。

「筋トレ、今さらそんなものいいよ」。そう考える方もいるかもしれない。しかし、1日のなかで体を動かす時間を少しでも作り、それを継続していくことで、毎日の生活の質が変わってくる。少しずつ自分の体が変わっていくのを実感すれば、仕事や勉強など、ほかのことにも精力的に取り組めるやる気が出てくるはずだ。今年こそ夏に向けて筋トレをという方はもちろん、最近ちょっと疲れ気味という方にも手に取ってもらいたい一冊だ。

文=井上淳