缶を開けて5分後には晩酌OK!魚缶や水煮缶で作る早ウマつまみを紹介

暮らし

公開日:2019/4/6

『今夜もシアワセ! 魚缶、水煮缶で早ウマ! つまみ』(らくウマ♪キッチン/河出書房新社)

 仕事から疲れて帰宅した夜、自宅で一人晩酌を楽しむのは至福の時だ。お気に入りのお酒と簡単なつまみを用意するだけでよし。誰に気兼ねすることもなく、終電を気にすることもなく、心ゆくまでお酒を楽しむことができる。しかし、つまみに関してはどうもマンネリ化してしまう。一人のために凝った料理をするのも億劫だし、かといって野菜スティックばかりでは味気ない。そんなとき、ぜひとも手に取ってもらいたいのが『今夜もシアワセ! 魚缶、水煮缶で早ウマ! つまみ』(らくウマ♪キッチン/河出書房新社)だ。

 缶詰の魅力は長期間常温で保存できることだが、実はそれだけではない。缶の中で長期間保存されている間に、素材の持つ旨味が熟成されてより味わいが増すというのだ。そのままでも十分おいしいので、それほど手をかけなくてもおいしいつまみができることは理解できる。ふたをパカッと開けて、ほんの一手間で絶品つまみができるのは酒呑みにはうれしい。

 本書のレシピはどれも簡単であっという間にできるものばかり。どれも手軽に作れるのだ。例えば「さば缶のポテチのせ」は、ポテチにマヨネーズと汁気を切ったさば缶をのせ、お好みでフライドオニオンをトッピングするだけ。実際に1分もかからないが、そのおいしさといったら! カロリーを気にすると躊躇してしまうかもしれないが、マヨネーズのコクとさば缶の旨味、ポテチの油分が渾然一体となって口の中がまさに「口福」状態となる。ビールとの相性もバッチリだ。

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 また、缶詰のメリットとして、缶のままで調理できる点も見逃せない。鍋や皿を使う必要がないので、洗い物が少なくなるのだ。スペイン料理のアヒージョという料理をご存じだろうか。ニンニクとオリーブオイルで食材を煮込む伝統的な小皿料理で、エビやマッシュルームといったさまざまな具材が使われる。サーディンの缶詰が一つあったら、なんと自宅で手軽にアヒージョを作ることができる。「サーディンの缶ごとアヒージョ」は、缶のふたを開けて汁を少し切り、そこにちぎった唐辛子を入れてそのままオーブントースターか魚焼きグリルで5分ほど加熱。仕上げにフライドガーリックをのせて塩を振ったら完成だ。熱々に熱せられた缶が調理器具になってくれるというわけだ。味付けは塩だけでなく、マスタードやしょう油、七味唐辛子などいろいろアレンジができるだろう。同様に、ツナ缶にうずらの卵を落として焼いたり、粉チーズをふりかけたものを焼いたりしてもおいしい。

 日本酒や焼酎に合うつまみとして紹介してある「さば缶なめろう」は、ぜひ作ってみたいレシピだ。通常、生の魚を包丁でたたいて作るなめろうだが、旨味の詰まったさば缶の水煮を使うことで、生臭さもなく食べられる。作り方は、さば水煮缶の汁をしっかりと切り、まな板の上でさば缶、みそ、おろしショウガを包丁でたたき混ぜるだけ。仕上げに小ネギやゴマを混ぜ合わせてできあがり。魚の種類によって味わいが変わるので、さまざまな缶詰で試してみてもいいだろう。

 他にも、市販の惣菜と合わせるレシピやシメになるレシピ、大豆の水煮を使うヘルシーレシピなど、実に95品も掲載されているので、缶詰つまみだけでも飽きずに日々楽しむことができる。友人を招いての宅飲みにもササッと作ってテーブルに出せば、きっと一目置かれるはずだ。

 世間では今、缶詰ブームが来ているという。缶詰というと一缶100円程度のものをイメージしがちだが、原料や製法にこだわった超高級缶詰や地域限定の缶詰などその種類は実にさまざま。お気に入りのものを常備しておけば、毎日の晩酌がさらに充実した時間になるだろう。

文=トキタリコ