35歳を境に精子が老化!? 男も知らない『妊活カップルのためのオトコ学』

出産・子育て

2019/4/6

『妊活カップルのためのオトコ学』(小堀善友/メディカルトリビューン)

 子どもができないのは、男性側に不妊の原因があるからかも……? 男性不妊症について気になりはじめた妊活中のカップルが、わかりやすく知識を得られるのが本書、『妊活カップルのためのオトコ学』(小堀善友/メディカルトリビューン)。男性不妊を専門とする医師が、オトコのカラダとココロについて、楽しく真面目に語ってくれる。

 著者である小堀善友先生は、AVのコレクション200本以上(!)と本書の中で公言してしまう、なんとも気さくな男性医師だ。

私事で恐縮ですが、僕はAV(アダルトビデオ)を結構たくさん観ます。半分は研究のために、真面目で純粋な目的での鑑賞です。そして半分は趣味です(僕も男ですからね)。それはさておき、AVを観ていていつも気になる点があります。女優さんがよく「精子をかけて~」というセリフを口にするのですが、これは間違いです。正確に言えば、精子ではなく精液なのです。

 精子のことだけでなく、男性器の構造やしくみは、男性自身も意外と知らない。女性は月に一度の生理があり、周囲の人から、あるいは性教育で、自分の体のしくみを教わる機会がそれなりにある。一方で男性は、自分の体のしくみについて、誰からも教わらないのだ。それこそ、マスターベーションの正しいやり方なんて、他人が教えてくれるわけがない。

 実は、小堀先生がもうひとつ専門にしているのが「射精障害」。男性不妊治療に携わっていて、射精障害について悩む人がとても多いことに気づいたそうだ。問題のある方法でマスターベーションを続けていると、子どもを作るための射精ができなくなることがある。射精障害が、男性だけの問題ではなくなってしまうのだ。

 男性側の不妊にまつわる問題は、もちろん射精障害以外にもある。卵子が老化することは知られていても、精子も35歳あたりを境に老化するという事実はあまり知られていないだろう。本書ではほかにも、勃起障害など男の性やホルモンに関するアレやソレを、医師の視点から客観的に、またあるときは男の気持ちを代弁しつつ、小堀先生が易しく&優しく解説する。

 本書のポイントは、小堀先生の聞き役に、女性であるライターの吉田潮さんを起用したことだ。小堀先生との対談ページでは、みずからも妊活経験者である吉田さんが、女性にとっては爽快で、男性にとっては鋭く痛いツッコミを次々と繰り出す。男女どちらもの赤裸々な本音が読めるので、パートナーの考えていることをより理解しやすくなるだろう。

 男性は自分のことなのに知らなかった「オトコ」の体を、女性はパートナーの体に起こっていることを、愉快に正しく理解できる本書。小堀先生いわく、「不妊治療においては、男性も女性も同じ知識と情報を共有して、協力し合うことが何よりも大切です」。どんなカップルにも合う万能の治療がないように、夫婦間のコミュニケーションにも正解はない。たがいの体のしくみと本音を知り、自分たちらしい妊活を進めるためのきっかけにしてほしい一冊だ。

文=三田ゆき