猫がそっけないというのは大きな勘違い! 猫の“親愛サイン”はこうやって見抜こう

暮らし

公開日:2019/4/7

『猫が幸せならばそれでいい 猫好き獣医さんが猫目線で考えた「愛猫バイブル」』(入交眞巳:著、おぷうのきょうだい:著・絵/小学館)

 近年では、犬の飼育頭数よりも猫の飼育頭数が上回り、猫ブームという言葉も使い古されてしまうほど、猫という動物に注目が集まっています。これから「猫を飼ってみたい」と思っている方も多いはず。しかし、猫と幸せに暮らしていくためには、ヒト目線ではなく、“猫目線”の考え方を取り入れていくことが大切です。

 そう訴えかけるのが、2019年2月に刊行されて以来、Amazonの猫本ランキングで上位に君臨し続けている『猫が幸せならばそれでいい 猫好き獣医さんが猫目線で考えた「愛猫バイブル」』(入交眞巳:著、おぷうのきょうだい:著・絵/小学館)。本書は“動物行動学”という観点から、猫との最高の暮らし方を学ぶ斬新な愛猫本です。

 著者のひとり・入交さんは、日本でも数少ない米国動物行動学臨床専門医の資格を持っている女性獣医師。保護猫と暮らしていた入交さんは、本書内で「猫のトイレ事情」や「猫同士の相性」など、飼い主さんが悩みやすい約50の問題について、的確なアドバイスを送っています。

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 近年は猫専門の動物病院も全国的に増えてきていますが、猫目線を考慮した病院はまだまだ少ないもの。だからこそ、飼い主さんが猫の行動学を知り、日常生活の中でストレスを緩和したり、適切なサポートをしたりしてあげることが大切です。それは結果的に、愛猫の寿命を延ばすことにも繋がっていきます。

“私は猫が好き。だから、猫が幸せならばそれでいいです。”

 そう語る入交さんが見つけた“猫を幸せにできる暮らし方”は愛猫家だけでなく、猫の生態を知りたいと思っている方の心にも響きます。

■猫はとても愛情深くて賢い動物

 ところで、みなさんは猫という動物に対して、どんなイメージを抱いているでしょうか。群れを作らず、マイペースに行動している。人間には懐かない、気まぐれな動物。…猫と共に暮らしたことがない方はきっとそんな印象を持っているはず。

 しかし、本書を手に取ると、その考えは180度変わります。実は、猫はとても愛情深くて賢い動物。さまざまなコミュニケーション法を駆使して、飼い主さんに愛情を伝えてくれるのです。

 例えば、尻尾を立てて近づいて来たり、体をすりよせてきたりするのは親愛のサイン。猫は表情だけでなく、体の色々な部分を使って人間に愛情を示してくれるのです。

 また、猫は大好きな飼い主さんに遊んでもらえなかったり、一緒にいられる時間が短かったりするとストレスから粗相をしてしまうことも…。言い換えれば、それほど人間への愛情が強いことの証でもあります。

 こうした事実を知ると、今まで抱いていた猫のイメージがガラっと変わるはず。猫は犬ほど感情を表に出さないと言われているため、「そっけない?」と誤解されてしまうこともあります。しかし、猫は猫なりの愛情表現で人間を想ってくれているのです。

 そんな想いに応え、よい関係を築いていくには、猫目線で猫のことを考えていくことが大切。科学的考察と体験談が盛り込まれている本書は猫を飼っている方だけでなく、猫の気持ちを知りたいと思っている方も興味深く読める1冊です。

■飼い主さんが悩みがちな猫のトイレ問題を解決するには…?

 猫を飼っている方が最も悩みやすいのが、トイレの問題。家の中のあちこちで粗相をされると飼い主さんは大きなストレスを感じますが、そういう時は猫もストレスを抱えている可能性が高いそうです。

 粗相は現状のトイレに対する不満から始まることも多いので、改善するにはまず愛猫が普段どのように排泄しているのかをチェックしましょう。例えば、トイレの縁に足をかけて排泄している時は、トイレの狭さにストレスを感じている可能性があります。

 最近は猫砂の飛び散りを防ぐため、カバー付きや上から入れるトイレが人気となっていますが、入交さんいわく、そうしたトイレは動きづらく、においがこもりやすいため、猫が不便に思うこともあるのだそう。トイレひとつとってみても、ヒト目線と猫目線とでは感じ方が異なるもの。気持ちのすれ違いは問題行動を生む原因にもなってしまうので、猫目線で生活環境を見直していきましょう。

 全ての猫飼いさんが、書名のように「猫が幸せなら、それでいい」と思えるようなライフスタイルを築いていけたら、猫という動物の魅力はもっと正しく世の中に広まっていくはず。愛猫のことをより深く考えたくなる本書は、人と猫の絆の深さを感じさせてくれる作品でもあります。作中には人気猫コミックエッセイ『俺、つしま』(おぷうのきょうだい/小学館)でおなじみのつーさんも登場。そちらも併せて楽しんでみてください。

文=古川諭香