おかず2品でも大満足のボリューム弁当!毎日のお弁当づくりが楽しみになる「だけ弁」とは?

食・料理

更新日:2019/4/19

『コウケンテツのだけ弁』(コウケンテツ/扶桑社)

 SNS時代において、見栄えのするお弁当は今や当たり前となっている。かわいらしいキャラクターが特徴的な「キャラ弁」はまさに時代を象徴するお弁当だろう。たくさんのおかずを美しく並べて、色合いも鮮やかに。紫の食材を使ってより華やかで特別感のあるお弁当を作る人もいる。しかし、たまにならばいいが、毎日凝ったお弁当を作るとなると精神的にも負担になりそうだ。そんな人の強い味方となってくれるのが『コウケンテツのだけ弁』(コウケンテツ/扶桑社)だ。

 まず目を引くのが本のタイトル。「だけ」と強調してあることで、何やら手軽に作れそうな空気が漂っている。人気料理家のコウケンテツ氏は子どもたちのお弁当を作る時、「品数が多いほうがいいのではないか」「栄養バランスを整えてあげたい」という思いから、朝から頑張ってぐったりとしてしまうそうだ。食べてくれる人のことを思って作るお弁当作りにおいて、同じような状況にある人は多いだろう。そんな中、著者が海外の家庭や市場をめぐる仕事で出会ったのが、おかずは1品だけ、残り物を詰めるだけといったとてもシンプルなお弁当だったという。しかも、そんなお弁当がとてもおいしくて感動したとも。

栄養バランスは、他の食事でなんとかなる。手間や時間は省いても、「おなかいっぱい食べなさい」と、愛情をつめる…。僕の考える「だけ弁」は、作る側も食べる側も笑顔で楽しむ弁当です

 本書で紹介してあるレシピは、基本的にご飯の上におかずを「のっけるだけ」のお弁当。しかも、おかずは2品だけというから、お弁当作りに要する時間も大幅に削減できるだろう。厚切りチャーシュー弁当やタンドリーチキン弁当は、肉にタレを絡めておいて焼くだけで、前日の夜から漬け込んでおく必要もない。忙しい朝でもササッとメインのおかずを作れるのだ。一般的に、お弁当作りにおいてタレなどのおかずの水分はなるべく入れないほうが良いとされているが、著者はご飯に染み込んだタレのおいしさを強調している。まず、お弁当箱にご飯を敷きつめてタレを一回しかけ、その上におかずをのせるという方法。食べる頃にはご飯にしっかりとタレが染み、冷めたご飯でもおいしく食べられる。

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 メインのおかずを一点だけ豪華にすれば、サブのおかずは生野菜などの手軽なものでもいいというアイディアは目からウロコだった。例えば、唐揚げ弁当では、ボリュームたっぷりの唐揚げに、さっと塩もみしたキャベツとたくあんを和えたものが添えてある。また、カレーソースカツ丼弁当では、ご飯の上に千切りキャベツを敷き、その上にドンとトンカツがのっているという豪快ぶり。しかし、不思議と手抜き感がないからら不思議だ。特に、食欲旺盛な男性はきっとテンションが上がる見栄えのお弁当だろう。

 本書で紹介してあるメインのおかずは、どれも白いご飯に合う甘辛でしっかり味のものが多い。そのため、品数が少なくても食べ応えがあり満足感を得ることができるはずだ。その一方、サブのおかずには野菜を使ったさっぱりとした味付けのものが多い。この2つのバランスで、飽きることなく食べ進めることができるのだ。ナスのさっとマリネやコマツナとシラスのさっぱりあえ、ズッキーニのジョン、長イモのタラモサラダなど、簡単でおいしいおかずをさっと作れるのはうれしい。

 また、麺だけ、ご飯だけ、パンだけのお弁当レシピも掲載されている。プルコギ焼きそば弁当やミートソース丼弁当、照り焼きチキンサンド弁当など、見ているだけで食欲が湧いてくるお弁当の数々に、明日からのお弁当作りが楽しみになることは間違いない。

 毎日のことだからこそ、お弁当作りはより手軽でラクに続けられるものであってほしい。作る側も気楽に楽しめれば、きっと品数は少なくても笑顔でおいしく食べてもらえるだろう。

文=トキタリコ