自宅でも活かせる!収納のプロ「キングジム」に学ぶオフィス整理術

ビジネス

2019/4/12

 整理ができていないオフィスは作業効率が悪いと言われる。今となっては「そういうことだったのか」と妙に納得できるのが、数年前に倒産した某社だ。

 仮にA社としておこう。もう十数年前になるが、初めて訪れたA社のオフィスで衝撃を受けたのは、デスクの一角で起きていた「書類の雪崩」であった。恐らく、共用の作業スペースであったと思われる6台ほどのデスクを寄せたその空間は、半分ほどが紙類で埋め尽くされていた。ファイルあり、単体の紙切れありのその山は、滑って崩れたまま放置されていたのだ。『“オフィスのプロ”だけが知っている キングジム 人も組織もうまくまわりだす 超整理術213』(キングジムファイリング研究室/KADOKAWA)を目にしたとき、真っ先に思い出した光景である。

 整理整頓ができていないオフィスは、何がどこに入っているのかわかりにくい。デメリットこそあっても、メリットはまず浮かばないだろう。何より、必要なときに必要な書類を探すのに時間がかかる。1人で作業しているなら「山の右手のブルーのファイルの上の方」など、たとえ雪崩と化しているファイルの山でもおおよその場所は把握できる。しかし、だ。オフィスで複数の人間が使うとなるとそうはいかない。恐らく、誰かが書類を使うたびに引っ張り出し、山を崩し、滑り落ちる、ということを繰り返しているのだ。そしてこの状況が無駄を作り、倒産の原因を作ったのかもしれない。

自分らしいワークスタイルを確立するためには、仕事をコントロール下に置くことが重要です。そうでないと次から次へと押し寄せる仕事に追われ、流されるままとなってしまいます。

ファイリングシステムを構築し、書類探しの時間を減らすことが、オフィスの業務改善、ひいては個人の充実につながります。

 とはいえ、多忙なときにファイリングやデータ整理に時間を割くのはなかなか難しい。ついつい後回しになってしまうのは筆者だけではないはずだ。むしろ、ファイリングやデータ整理を仕事と考えるのは難しい部分もある。しかし、整理術こそ重要であり、ファイリングシステムの構築は投資であると、本書は解説する。

仕事を片付けるのに精一杯では、同じような仕事が再びきたときに書類や資料を活用できる状態になどしておけません。
一方、ファイリングにより誰もが見える形でノウハウを蓄積してあれば、ほかの人も活用でき、業務がスムーズに進み、ミスを防ぐこともできるのです。

 うわっ! さすがはファイリングのプロである。見透かされているではないか! 「はい、ごもっともです」と謝るしかない貴重で的を射た意見である。こんな「さすがはキングジム様」と思える整理術が318ページにもわたって紹介されているのだ。

 個人的に面白いと思ったのは、ポケットやバッグの中も「収納の一つ」と考えての整理術の提案だ。「忘れ物がないか瞬時にわかる整理術」や「オフィスを持ち歩く」という発想には恐れ入った。確かに、ポケットやバッグは移動オフィスと言っていい。

 キングジムということで、やはりファイリングがメインなのだろうか、と思えばそうではない。デジタルデータの整理術や管理術から、移動オフィスたるバッグに忍ばせておく「非常事態グッズ」の選び方までありがたい提案をしてくれている。これはもう、至れり尽くせり状態なのだ。

 筆者は、オフィスの整理術はプライベートにも活かせると考えている。これはSOHOで仕事をしている人はもちろんだが、そうではない人も活用できると思う。紙類やデジタルデータは、どの家庭にもある。書類ではなくても、例えばキッチンの調味料や保存食なども整理すれば使いやすくなり、作業効率はグッと上がるはずだ。

 本書でファイリングシステムを構築し、自分への投資をしてはいかがだろうか。

文=いしい