闇に埋もれた特撮・アニメ・バラエティ番組が放送禁止になったワケは? 平成最後に振り返るお蔵入り番組集

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2019/4/11

『実録 放送禁止作品』(山下浩一朗、左文字右京:編/鉄人社)

 時代の転換点とも思える、新元号の発表が話題を集めた。まもなく平成から令和へ。だんだんと実感がわいてくる中では、ひとつの“時代”を振り返りたくもなる。

 そんな思いから手に取ったのが、放送禁止となった作品の背景を明かす文庫『実録 放送禁止作品』(山下浩一朗、左文字右京:編/鉄人社)だ。特撮モノ、ドラマ、アニメ、ドキュメンタリー、バラエティ番組、映画の数多ある作品から、平成の時代を彩った作品の逸話を紹介してみたい。

■ヒロインの消失を“苦肉の設定”で乗り切った「仮面ライダー電王」

 平成ライダーにも、いわくつきの作品がある。2007年1月から1年間放送していた「仮面ライダー電王」だ。

 この作品ではヒロインのハナを演じる女優・白鳥百合子さんの降板劇があった。ハナは、佐藤健演じる主人公・野上良太郎と、敵であるイマジンの秘密を知る重要な役柄であったものの、ストーリーの途中でなぜか存在自体が消失。第33話「タイムトラブラー・コハナ」で、ハナが本来いるべき時間に変化が生じて、幼児化して子供の姿になるという“苦肉の設定”を入れざるをえない事態に陥った。

 なお、白鳥さんは2008年2月17日付けのブログで「芸能界の仕組みをもう少し分かっていれば違った道を歩けたのかもしれません」と明かし、のちに芸能界を引退したことを公表している。

■都市伝説的に語り継がれるアニメ「ポケットモンスター」の“ポリゴン”回

 アニメの映像表現に大きな影響を与えたのが、1997年12月16日に放送されたテレビ東京系列のアニメ「ポケットモンスター」の第38話「でんのうせんしポリゴン」だった。

 問題となったのは、この回で使用された“点滅映像”だった。赤と青の光が交互に点滅する“フリッカー”と呼ばれる刺激により、全国で700人以上もの視聴者が失神やけいれん、吐き気などをもよおし、テレビの前で倒れるという事態に発展。のちにこの回のソフト化や再放送が禁止され、第39話以降の放送も一時中断された。

 現在、さまざまな番組の冒頭で「テレビを見るときは部屋を明るくして、画面から離れて見てください」というテロップが流れるようになったのは、まさしくこの事件が発端であり、放送後、NHKと日本民間放送連盟は共同でガイドラインを作成した。

■放送のあり方を問うきっかけとなった「発掘! あるある大事典II」

 昨今、視聴者側のリテラシーが鋭くなってきた印象もあるが、その契機として取り上げておきたいのがフジテレビ系列でかつて放送していた健康をテーマにしたバラエティ番組「発掘! あるある大事典II」である。

 2007年1月放送の「食べてやせる!!! 食材Xの新事実」回で取り上げた“納豆ダイエット”のデータ捏造が問題となったこの番組。発覚後、番組が打ち切りとなったのはもちろんであるが、製作を請け負っていた日本テレワークは社長が引責辞任し、全日本テレビ番組製作社連盟を退会。さらに、放送局の関西テレビが日本民間放送連盟から除名処分を受け、総務省からも行政指導として重い警告を受ける事態へと陥った。

 なお、製作会社であった日本テレワークは、2005年1月に放送したテレビ東京系列の「教えて! ウルトラ実験隊」でも、花粉症対策に関するデータを捏造したことが発覚している。納豆ダイエットについては、市場での異常な売れ行きをもとに社内調査が始まったことから明るみとなったが、いずれにせよ「捏造は発覚しなければ事実と同様」という放送のあり方が問われるきっかけとなった。

 さて、どんな物事にも背景や理由が存在する。数々の放送禁止作品を知ると、時代の移り変わりを不思議と味わえるものだ。本書を手に取り、それぞれの作品に思いをはせるのもまた一興である。

文=カネコシュウヘイ