ねこ好き悶絶必至! まるごと1冊ねこの絵本図鑑『ねこのずかん』

文芸・カルチャー

2019/4/17

『ねこのずかん』(大森裕子/白泉社)

 猫はとっても愛くるしい。見ているだけで幸せになれる生き物だ。ご飯が欲しくて頬ずりしてきたかと思えば、こちらが呼んでもチラリと一瞥をくれるだけ。そのつれなさがたまらない。もちろん、甘えてくるのもたまらない。要するに、猫はとっても愛くるしい生き物なのだ。

 そんな愛猫家たち悶絶の図鑑絵本『ねこのずかん』(大森裕子/白泉社)が発売された。絵本だからとて侮るなかれ。ねこのかお、ねこのからだ、ねこのしょくじ、ねこのいっしょうなどなど、猫にまつわるすべてがこの1冊に集約されている。

 本作は大森裕子さんによる同シリーズ『おすしのずかん』、『パンのずかん』に次ぐ3作目。食べもののイラストも本物そっくり、思わず唾が出てきてしまうようなものだったが、そのしずる感は『ねこのずかん』でも健在。大森さんが描く猫はリアルなだけでなく、愛くるしい。我々猫好きの気持ちをきっと彼女はお見通しなのだ。

 たとえば、いろいろな猫のイラストが並ぶ「ねこのしゅるい」のページ。アメリカンショートヘアやスコティッシュフォールド、マンチカンといった定番の猫ちゃんたちはもちろん、きじとらやさばとらといった日本猫までひとくちに猫と言ってもさまざまな色や柄があり、どれも愛らしい。そして、作中にも書かれているが、同じ模様の猫はいても、全く同じ模様の猫は1匹たりとも存在しない。その事実を改めて実感させられ、自分の飼っている猫や道端で遭遇した猫への愛情や尊さが増していく。

 イラストの可愛らしさだけではなく、図鑑というだけあって解説もきちんとなされている。子ども向けにやさしい言葉で書かれてはいるが、耳が「にんげんの8ばいよくきこえる」ことや鼻が「にんげんの10まんばいびんかん」なことなど、身近でありながら知らなかった目からうろこの猫の生態を知り、ますます猫が好きになってしまうこと間違いなしだ。

 また、雑学を越える実用的な知識が得られるという点では、猫を飼い始めたばかりの「猫飼いビギナー」にとってもうってつけと言えるかもしれない。猫の動きから読み取れる気持ちについて説明した「ねこご」や、猫と親しくなるための「ねことともだちになるには?」のページでは、猫を飼ううえでの心得とも言える内容が書かれている。

 めくっても、めくっても、愛くるしい猫。絵本だとわかっていても、思わず頬ずりしたくなってしまうのは、私だけだろうか。

文=佐々木ののか

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