病気の発覚、親の介護、そして彼の心の病……! 襲いかかる困難を乗り越えた浜田ブリトニーのリアルなパネェ出産記

マンガ・アニメ

2019/4/22

『パネェ! 出産~元ホームレス漫画家のアラフォーシンママ日記~』(浜田ブリトニー/集英社)

 ホームレス漫画家として大きな話題になった浜田ブリトニーさん。ガングロのギャルメイクでテレビに出ていた彼女のことを覚えている人も多いだろう。そんな彼女がシングルマザーになることを決意し、出産するまでをリアルに綴ったのが本作『パネェ!出産~元ホームレス漫画家のアラフォーシンママ日記~』(集英社)だ。

 きっかけは自分の病気だった。病院で「癌かもしれません」と言われ、手術をすることになった浜田さんは、初めて「子どもが欲しい」と思うようになる。完治した後に妊娠するも、同棲していた彼氏の心の病はひどくなり、さらに介護していた実の父親も危篤状態に。そして……と、驚くほどの困難がどんどん浜田さんを襲う。

 特に、彼の心の病の描写は読むだけで涙が出てくる。病気のせいで何度もケンカになり最後は自殺しようとする彼を、身重の身体で浜田さんは何度も必死に止めることに。次第に気持ちが冷めていく彼女は、決意する。

“私はこの子を1人で育てよう!!
未婚の母として雫を必ず幸せにしてあげるんだ!!
彼の命を救う為にも 私達は離れるべきだ”

 全編を通して感じるのは、浜田さんの太陽のような優しさと強さだ。本作は息をつく間もないほどの困難が連続するのに、全体的にさらっと読むことができる。その理由は、浜田さんから妬みや恨みなどのネガティブな感情が感じられないからだ。彼の自殺未遂にも、彼を心配こそすれ彼自身に怒りの矛先が向くことはない。それどころか病気の父親を支えきれなかったことを後悔したりする。辛い状況でも歩みを止めることなく、前向きに進む浜田さんの姿を見ているだけで「頑張るしかねー!」と声が聞こえてくるようで元気が出てくる。

 確かにお腹の子どもという守るものがあるけど、それだけで人は四六時中強くいられるものではない。浜田さんの強さと優しさは、ホームレス生活をしたりキャバクラで働いたり、自分の本当にやりたい漫画家という仕事に向かってがむしゃらに頑張る日々の中で身につけた「生きる力」なんだと思う。

 浜田さんのブログによると、病が完治した彼とすでに入籍されたそう! 3人になったこれからの家族の物語も楽しみだ。

文=中原由梨