すぐマネしたい! 子どもが「かんしゃく」を起こした時フランス人ならどう静める?

出産・子育て

更新日:2019/4/26

『子どもの気持ちがわかる本 子どももママもハッピーになる子育て』(イザベル・フィリオザ:著、アヌーク・デュボワ:イラスト、土居佳代子:訳/かんき出版)

 フランスは共働き先進国といわれる。フランス人女性の多くは、仕事と育児を両立させているそうだ。日本でも母親の社会進出は当たり前になりつつある。フランスの育児から参考にすべき部分があるかもしれない。

『子どもの気持ちがわかる本 子どももママもハッピーになる子育て』(イザベル・フィリオザ:著、アヌーク・デュボワ:イラスト、土居佳代子:訳/かんき出版)という本は、子どもの「かんしゃく」「だだをこねる」といった“困った行動”に対して、「子どもの言い分」や「科学的な裏付け」などさまざまな視点から分析したうえで、親がとるべき対応を示す育児書だ。著者はパリ生まれの心理療法士で、本書の発行部数はフランスで25万部を突破、世界16カ国以上で翻訳されており、全世界の親に読まれている。フランスの親が、本書のような育児書を頼りにしているのであれば、本書を読めばフランスの育児が見えてくるかもしれない。

■「かんしゃく」のメカニズムを理解すると、静めることにも役立つ

 本書の大きな特徴は、前述のとおり「子どもの言い分」や「科学的な裏付け」などによる分析から、親の行動が示されていることだ。例えば、「子どものかんしゃく」の項には、次のようなことが紹介されている。

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 1〜3歳くらいの子どもは、スーパーマーケットで欲しいお菓子を買ってやらないなどのときに、かんしゃくなど感情の爆発をしばしば起こす。これらは「愛情不足」が原因である、という意見も散見されるが、本書は必ずしもそうではないという。では何が原因なのか? ――簡単にいうと、生理的状態が関係している場合もあるという。

 本書によると、子どもの神経組織は、緊張が高まるとそれを解放するためのリアクションを起こすことがある。その出現のひとつが「かんしゃくを起こす」こと。親にとっては慌ててかんしゃく自体を落ち着かせようとするが、子どもの脳にとっては、この感情発作そのものが、自分を落ち着かせるための方法だ、というのだ。

 子どもがかんしゃくを起こしているとき、子どもは心の中で、次のように叫んでいる。

“ぼくの脳と体の中は台風みたいにグルグルしている。ママが何を言っているのかもわからない。恐いことやストレスはもうたくさん。助けてほしいから、ぼくはもっと叫ぶよ…”

 このように、かんしゃくを起こしている子どもは、自分を落ち着かせたいと思っているのにどうしていいかわからず、自分がどうしたらいいか親に教えてもらいたい! と願っているそうだ。

 本書によると、このとき、子どもに「譲歩するか/しないか」…つまりお菓子を買い与えるかどうかの二者択一は“落とし穴”だという。この時点の本当の欲求は、落ち着くことに移行しているからだ。色彩や音に溢れたスーパーマーケットの中で、親が「落ち着きなさい」と言うことは逆効果にもなりうる。親が優しく安定感をもって子どもを包み込んであげれば、子どもの体内でオキシトシンというホルモンが分泌され、子どもが落ち着くのを助けることになるという。

■子どもに「役割」を与えると、かんしゃく防止に効果アリ

 さて、かんしゃくを起こしたらどうしたら良いかはわかった。では、そもそもかんしゃくを予防することはできないのだろうか。本書には、こう書かれている。

“子どもに仕事を与えること。美味しそうなミカンやニンジンを選ばせる、どれが美味しそうか意見を言うなどの仕事を与えることで、子どもはそれに集中することができる。このとき、子どもの脳内には自発的な行動を促すドーパミンが放出されており、ストレスをコントロールし、恐怖や怒りのシステムを抑制しやすくなっている”

 子どもの“困った行動”は多岐にわたる。かんしゃくを起こすほかに、じっとしていられない、イスを揺すって遊ぶ、夜中に目を覚ます、反抗する、下品な言葉を使う…などなど。合理主義といわれるフランスで評判となった本書のように、「根拠が明確化された育児書」だからこそ得られる解がありそうだ。

文=ルートつつみ