人類の寿命はどこまで延びる!? 30年先の環境変化や世界の覇権争いを科学的に予測!

ビジネス

2019/5/2

『2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生』(高城剛/集英社)

 4月中旬なのに、寒暖差が大きくて冬物のコートがしまえない──。まあいつもなら、「そのうち温かくなるさ」と気にも留めないところだが、今はもうそう楽観できない。なぜならば、衝撃的な警告の書を読んでしまったからだ。

『2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生』(高城剛/集英社)は、前作『分断した世界』(集英社)の後編にあたるもので、合わせて足掛け5年の歳月をかけて、「世界の大きな変革の始まり」を識者へのインタビューなどを交えて取材しながら、この先30年間の未来予測を行う1冊だ。後編とはいえ書籍の内容は独立しているので、本書から読み始めても何ら問題はない。

■2030年代から地球規模の小氷河期が始まる!?

 何がショッキングな警告なのかといえば、本書冒頭に登場する、ある科学者の言葉である。それは、「2020年以降、地球は寒冷化が本格化し、2030年代からそのピークとなる小氷河期に突入する」という“科学的予測”である。予言や預言ではなく、科学的予測というところが肝だろう。

 発言の主は、英国ノーサンブリア大学の天体物理学者で、「97%の確率で地球気象の未来を予測する」と言われてきたバレンチナ・ザルコヴァ教授である。

 本書には、著者がインタビューした教授の発言や、地球がこれまで体験してきた小氷河期の歴史考察、また今後起こり得る世界的な混乱などの予測が紹介されている。

 それによると、今後太陽活動が数十年規模で弱まるサイクルに入るという。そして地球温暖化ではなく「Global Cooling」時代に入る。一番の懸念は世界的な食糧不足で、民族大移動や太陽の大規模なコロナ放出による大規模停電などによる混乱も起こり得るそうだ。

 だが、もし本当に地球規模の小氷河期が来たら、世界が絆を深める好機にもなるかもしれない。国境、宗教、歴史などの垣根・こだわりを捨て、人類がひとつになってサバイバルにかけるしかないのだ。

■世界の覇権争いは、中国VSインドへと移行する!?

 さて、本書は地球の寒冷化という環境変化を念頭に置きつつ、2049年に向けて世界主要国の未来動向を、テクノロジーや経済、さらには人口の増減を切り口に予測していく。では、今後、世界のリーダーシップを担えるのはどの国なのだろうか?

 著書の予測では、圧倒的な人口を基盤にインドが躍進するという。そして米国VS中国という現在の覇権争いは、中国VSインドへと移行していく。

 インドは現在すでにIT人材の宝庫であり、そこが最大の強みの一方で、愛国心の欠落による“国としての結束力”に難点があるという。

 では超大国・米国の未来絵図はどうなのか? …その意外な展開は、ぜひ本書を通じてご自身でご確認いただきたい。

■ホモ・サピエンスの能力を拡張した人類「HUMAN3.0」

 日本の未来についても触れたいのだが、タイトルにもある「なぜ日本がEU(欧州連合)に?」というタネあかしは、いわば本書最大のミステリーでもあるため、ここも本書に任せよう。ミステリーといえばもうひとつ。タイトルにもある「HUMAN3.0」である。

 著者独自の定義によると、ネアンデルタール人を押しのけ地球の食物連鎖の頂点に立つことができた黎明期のホモ・サピエンス(現生人類)が「HUMAN1.0」である。次に、出アフリカを果たし、世界へと拡散した行動派ホモ・サピエンスが、今の私たちである「HUMAN2.0」なのだという。

 そして来るべき人類が「HUMAN3.0」だ。その実態は、「身体や脳をカスタム化し、時にはパーツを入れ替え、寿命を延ばし、ホモ・サピエンスの能力を拡張した人類」ということになるそうだ。

 この「HUMAN3.0」が誕生するに至る、テクノロジーの進化予測を本書で読めば、この新人類の誕生が、決して荒唐無稽な想像ではないことがわかるだろう。

 いずれにせよ、今後人類は、寒冷化と人口増による「地球生活の限界」に直面するという。この2つの課題のうち、特に深刻なのは後者で、「今世紀が最期の世紀になる」と考える科学者も世界中にいるという。

 繰り返しになるが、世界はもはや、ひとつになるしか選択肢がないという。知恵を出し合い、助け合い、より良き未来を共に創る。人類はその正念場に立たされているのだ。それを教えてくれる本書を、少しでも多くの人におすすめしたいと思う。

文=町田光

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