どうでもいいのに、なぜか気になる。連休に覗いてみたい、男子高校生のくだらない日常劇

マンガ

更新日:2019/5/14

『男子高校生の日常』(山内泰延/スクウェア・エニックス)

 ゴールデンウィーク真っ只中。連休は、何も考えずにだらだらしたい。家から出るのも億劫だ。むずかしいことは脇に置いておきたい。そんなあなたに、心ゆくままリラックスできるマンガを紹介しよう。

『男子高校生の日常』(山内泰延/スクウェア・エニックス)は、3人の男子高校生たちを中心としたいわゆる“日常系”マンガだ。本作を携え、思う存分だらだらとして令和の時代を迎えようではないか。

 タダクニ、ヒデノリ、ヨシタケの3人が過ごす“日常”はクセになる。彼らはとにかく仲が良い。第1話は「男子高校生とスカート」。彼らは好奇心から、タダクニの妹のスカートをはいてみようと思い立つ。そして、

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“あっスネ毛!”
“馬鹿野郎 スネ毛があるのがいいんじゃねーか”

 と、彼らはどうでもいいことを語り出す。

 本作の原型となる作品が、「スクウェア・エニックスマンガ大賞」で奨励賞・審査員特別賞を受賞した際のタイトルは『男子高校生のどうでもいい日常』だった。確かに“どうでもいい”かもしれないが、どこか懐かしくて愛おしい。読んでいて、気がつけばほんわかと笑みがこぼれ出てくる。

 第1話の内容に戻るが、スカートをめくってああだこうだとやりあっているうちに、妹が帰ってくる。妹が扉を開けたところで話は終わりだ。妹の顔は描かれていない。余韻が残る。各話がそのように、“そろそろ盛り上がってくるかな?”と思い始める頃合いで、楽しい気分のまま、次の話に移行していく。

 1巻には本編が15話収録されている。話によって長さが違うのも新鮮で、小気味よいリズムで読み進められる。中には、たったの4ページだけでクスッと笑わせてくれる話も。

 また、本作には女子の顔はほとんど出てこない。珍しく登場するのが第4話「男子高校生と文学少女」だ。しかし彼女はほとんど話さない。

 河原でヒデノリが寝そべって本を読んでいたところ、謎の文学少女が無言で横に座るシチュエーションからこの話は始まる。話を牽引するのはヒデノリの心の声だ。

“なんで無言なんだ このクソ広い川原でわざわざ俺の隣に座っといて!”
“とにかく彼女の期待を裏切るわけにはいかん!飛ばすぜすかした言葉を!”

 そしてヒデノリは、目一杯カッコをつけて言い放つ。

“今日は……風が騒がしいな…”

 文学少女の反応はいかに。

 河原や家、学校で。道端、海、あるいはバイト先のビザ屋で。いろんな場所で過ごす男子高校生たちの微笑ましい日常を、だらだらしたい連休のお供にぜひ。

文=えんどうこうた