オフィスから会社員が消える! 全員フリーランス化時代、荒波を乗り切るスキルは?

ビジネス

2019/4/26

『会社員が消える 働き方の未来図』(大内伸哉/文藝春秋)

 私たちの働き方は、ICT(情報通信技術)の発達により大きく様変わりしている。街に出れば、スマホやパソコン片手に仕事をするビジネスマンを見かけることは珍しくない。チャットシステムやビデオ会議などの普及により、自宅と会社を結んでコミュニケーションを取ることも容易になった。時間や場所の拘束から解放され、より柔軟な働き方ができるようになっている。

 本稿で紹介する『会社員が消える 働き方の未来図』(文藝春秋)の著者である大内伸哉氏によると、ICT発達のインパクトがもたらす“真の”働き方改革は、それにとどまらないようだ。仕事の内容自体にも変化が起こり、企業に所属する雇用形態が崩壊していくという、会社員の身としてはドキッとするような予測を立てている。大内氏が考える働き方改革の行方を見てみよう。

■日本型雇用システムが崩壊し、フリーランスの働き方が主流になる

 働き方の変化を考える上で切り離せないのが、AI(人工知能)やロボットの存在だ。日本の労働人口が減少の一途をたどる中で、人間の仕事を代替する労働力として活用範囲が広がっている。一方で、「人間の仕事がAIやロボットに奪われるのでは」という懸念もあるだろう。2015年12月には、10~20年後に日本の労働人口の約49%が就いている職業において、AIやロボット等で代替可能になるという推計結果を野村総合研究所が発表して話題となった。どのような仕事が代替されるかについては、本書内で詳しく紹介している。

 大内氏によると、今後は企業による従業員の「棚卸し」が進められていくことが想定されるという。人間が行っていた業務が精査され、どこまでAIやロボットに任せられるかを切り分けるということだ。定形的な仕事はAIやロボットが担うようになれば、残された仕事は、「人間にしかできない独創的で創造的なもの」に絞られていく。結果、専門性を備えたスペシャリスト型人材のニーズが増していくという。

 さらに大内氏は、ICTの発達により従来の日本型雇用は崩壊していくだろうとも予測する。理由は、ビジネスモデルの更新スピードが上がっていくからだ。そのため、企業は将来のビジネスモデルを予想することが難しくなっていく。必要な人材もプロジェクトによって異なるため、定年雇用を保証して長期にわたり人材育成を進めるのではなく、状況に応じて専門的なスキルを持つ人材を「購入」するようになるという。企業の立場としては、必要に応じてスペシャリスト人材を調達できる方が効率的で、変化にも柔軟に対応できる。将来は、企業が雇用を減らすと同時に、フリーランスとしての働き方が主流になるというのだ。

■企業から離れて違う世界を覗いてみよう

 従来の雇用制度が崩壊して企業の庇護が受けられなくなるとすれば、私たちはフリーランスとして、自らキャリアを切り開いていく必要がある。急にそんなことを言われても戸惑ってしまうが、どう備えれば良いのだろうか?

 その一例として大内氏が挙げるのが副業だ。今勤めている企業を離れて別の環境で働く経験は、単純に収入を増やすだけでなく、自分に向いている職業を発見する機会にもなる。将来、自分の仕事がAIやロボットに取って代わられる可能性があるなら、早いうちから適職を見つけておいた方がいいと大内氏はアドバイスしている。

 時間や場所にとらわれず働ける環境も整いつつある。具体的な例が、ネット上で仕事の受発注が可能なクラウドソーシングや、会社以外の場所で働くテレワークのシステムだ。企業はクラウドソーシングを通じてプロジェクトのメンバーを募るようになり、フリーランスの労働者は、企業に専属で通うことなく自身が力を発揮できる仕事を選択できる。自宅にいる必要すらなく、海外や旅行先で仕事を受けることも可能だろう。フリーランスが増加すると、ネット上で完結する働き方は今後ますます広がっていくという。

 ここまで紹介した内容が、机上の空論だと思った人も少なくないだろう。たしかに実社会では、最新技術を導入するコストや法制度など、さまざまな要因が絡み合う。タイトルにもある“会社員が消える”ような事態は、すぐには起こらないかもしれない。だが、大内氏は「技術革新のもたらす変化は、いつ起こるかを正確に予測することは難しいとしても、いつかは起こるものだ」と語る。その「いつか」が訪れるときに備え、本書を通じて自身の働き方や適職に目を向けてみてはいかがだろうか。

文=逢沢凪