今すぐリノベしたい!! ちきりん流「ガチ顧客目線」の徹底リノベアドバイスに大納得。

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2019/5/4

『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』(ちきりん/ダイヤモンド社)

 月間200万PVを誇る大人気「社会派」ブロガー・ちきりん氏。「既成概念を排して自分のアタマで考えた」その意見は、どれも「常識」の痛いところをついてくる。まさにコペルニクス的転回感があるのだ。著作もすでに10冊を超えるが、最新作の『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』(ダイヤモンド社)は、既刊とはまったく異なるジャンルの「住宅リフォーム」がテーマ。実際に自宅マンションをリノベーションした経験から彼女が得た、さまざまな「気づき」をぎゅっと凝縮させて1冊にまとめたものだ。表紙に『完全に「顧客目線」で、リノベーションのすべてを解説!』とあるように、徹底的に「顧客目線」でその総プロセスを解説している。

 住まいのリノベーションなんて、一生に1回するかどうか、という、かなりレアな体験だ。だからリノベーション本というと、事業者目線で語られる専門的内容が主で、顧客、つまり素人が読んでもなんだか煙に巻かれたような、曖昧さが残るものばかりだった。この本はまさに素人のための本。予算の決め方やリフォーム会社を選ぶポイント、見積もりの見方など、いくらググっても見つけられない本音情報がぎっしり詰まっている。リノベ会社の言う「ご予算は?」の意味は「いくらの予算プランを作るか?」ということだとか、相見積もりをとっても、それを詳細に比較することは不可能だし無意味、などなど、目からウロコの具体的なアドバイスが満載だ。リフォームを始める前に読めば、戸惑いや不安がかなり払拭されるだろう。

 はっとさせられたのは「リノベーションは共同プロジェクト」という言葉。ちきりん氏曰く、取引には払った金額と同じ価値のものを交換する「等価値交換型取引」と、客と業者が同じ方向を向き「情報と知恵を出し合い、共に試行錯誤する」ことで最高の結果を生み出す、いわば患者と医師のような「共同プロジェクト型の取引」の2種類があり、リノベーションはまさに後者だ、というのだ。リノベーションは、契約してお金を払ったら終わりではない。それはあくまでも「始まり」で、常にありのままの状況を顧客と業者がお互いに示し、何度も意見交換し「コミュニケーション」を取ることが最高の結果を生む秘訣だ、と著者はいう。これってまさに新しい事業の立ち上げそのものでは? 大げさかもしれないが、自分の手で新規事業を始める体験ができるっていうことかも! そう考えたらワクワクしてきて、リノベーションしたい気持ちが一気に高まった。

 著者の体験を詳細に再現した、リノベ会社選びの章も衝撃的。こんなに詳しくて臨場感あふれる体験記なんて、そうそうないだろう。著者独自のチェックポイント、例えば個別相談の所要時間をメモしておく、要望をわざと長い文章で書き記し、それに対しての担当者の反応を観察するなどは、一見リフォームとはまったく関係ないように思える。が、これは、リノベ会社を「共同のプロジェクトを一緒に進めていくパートナーとして不安はないか」という基準で判断しているからであり、「見積もりも提案プランも判断基準にはならない」と言い切る。目の前の甘言に惑わされてはダメ、ということか。うーん、奥が深い。

 著者が実際に行ったリノベの写真や間取り図など図版もたっぷり。「こんなにオープンにしちゃって大丈夫?」と心配になるほどだ。そしてそれがまた、本当に面白いのだ。リノベ後の生活の快適さもしみじみ実感がこもっていて、「私もこの、無駄な動線なんとかしたい! リノベするしかない!」と新たな野望に火をつけられてしまった。

文=川嶋 由香里