片づけられない人も必見! 今日中に片づけたいと思ったらまず「アノ場所」だけ整理しよう

暮らし

公開日:2019/5/6

『たった1つの場所を片づければ一生散らからない』(石阪京子:著、すぅ:漫画/KADOKAWA)

 かつて私の部屋を見た友人が「ゴブリンの巣」と称したとき、私は大きな衝撃を受けたのだが、事実であったため反論もできなかった(ゴブリンとは架空の存在で、地下や洞窟といった薄暗い場所に生息するなど不潔なイメージがある。それと比較されるほど部屋が汚かったということであり、友人はさぞ私のことをダメな人間と思ったことだろう…)。

 こんな片づけられない「ダメ人間」な私であるが、『たった1つの場所を片づければ一生散らからない』(石阪京子:著、すぅ:漫画/KADOKAWA)を読んで、救われた思いがした。「片づけが苦手な人はダメ人間じゃない!」といい切る著者の石阪京子氏によれば、「正しい方法で片づけをスタートさせれば必ず家は片づく」という。

■最初に片づけるのは意外なアノ場所――

 では、その「正しい方法」とはどのようなものか。本書で挙げるポイントはいくつかあるが、まず確実に押さえておきたいのが「片づけで最初に手をつける場所は『バックヤード』である」ということだ。「バックヤード」とは押入れやクローゼットなど、いわゆる「収納スペース」のこと。まずはこの場所を徹底的に片づけることから始めなければならない。なぜなら、この場所には一時的に置いた物がそのまま放置されている可能性が高いからだ。そういう物は不要品であることが多く、それが収納を圧迫しているために必要な物が収納できず、部屋全体が散らかるのである。多くの家では「バックヤード」とは何が出てくるか分からない「アンタッチャブル」な部分かもしれないが、そこを最初に片づけることこそ、正しい片づけの第一歩だ。

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 そして「バックヤード」から物をすべて出し終えたら、今度はそれを種類別に分けていく。「今、必要で使っている物」と「大好きで大切な物」を選んで、あとは潔く処分するのだ。

 ここで重要なのが、「収納場所の7割になるまで物を厳選する」ということ。収納に物がいっぱいに詰まっていると、今後選別が必要な物の一時的な置き場所がなくなる。結果、それは適当な場所に放置され、部屋が散らかるのだ。バックヤード以外の場所でも、基本的な考えかたは同じ。物を収納する場所の物の量は常に7割をキープすることが、リバウンドしない片づけの秘訣なのだという。

■不要品をスッキリ片づけるために必要な「気持ちのスイッチ」とは?

 しかし、そう簡単に不要な物を選別できるのか疑問に思う向きもあるだろう。石阪氏も「片づけで一番難しいのはモノを手放すことなんです」と語る。だから氏は片づけには「バックヤードから片づける」などの「テクニック」と共に、「気持ちの整理」といった「マインド」が必要なのだと指摘する。

 ではどうやってその「マインド」を手に入れればよいのだろうか。本書では「理想の暮らしを思い描く」ことが大事だという。その「理想の暮らし」に、目の前の物は必要かどうかを考える。そうすれば本当に必要な物とそうでない物がハッキリしてくるのだ。物を大事にするあまり部屋を圧迫して不便を強いられるより、要不要を正しく判断して快適な生活スペースを確保するほうがよいはず。「モノを失うより、快適な暮らしを失うほうが怖いと思いませんか?」──石阪氏のこの言葉には、真実が込められている。

 そういえば、私が少し前に片づけをしたとき、大事にしてきた雑誌のバックナンバーを大量に処分したことがあった。以前は捨てるのにものすごく抵抗があったが、時が経つと案外簡単に処分できたのだ。「片づけは気持ちの整理が9割」という本書の指摘は的を射ていよう。「いつか使うかも」と思う気持ちもよく分かるが、部屋にある物は定期的に確認して、できる限りスッキリと整理しておくことをオススメする。

文=木谷誠