擬鳥化された世界がシュールすぎる…! 屁理屈野郎の大学生“鳥”が主人公のなんでもアリなギャグ漫画

マンガ・アニメ

2019/5/19

『ワカルトリ』(柴田賢志郎/LINE Digital Frontier)
『ワカルトリ』(柴田賢志郎/LINE Digital Frontier)

 いかにもインスタ映えを狙ったスイーツやバズるために必死なツイートなどを見ると、どうしても心のどこかで引いてしまう。なんだか「つまんないやつばっか」と腐りたくなる。そんな人にとって、なんとも共感できる“鳥”の漫画がある。

 柴田賢志郎氏が描くギャグ漫画『ワカルトリ』(LINE Digital Frontier)は、ウェイウェイした人たちが嫌いで屁理屈屋の大学1年生、ワカルトリの日常を描いた作品だ。

 擬人化ならぬ、擬鳥化。その世界では、ふつうにおにぎりを食し、スマホを操り、課題に苦しむ、鳥要素の薄いキャラクターたちが登場する。「人間」は都市伝説扱いされ、鳥たちだけが存在する世界だ。

 ワカルトリは、とにかく屁理屈野郎である。2年生のミーハ先輩にサークルに入らないのかと聞かれると「身内で馴れ合って生産性のない時間を過ごすより自分の時間を優先しますね」と返し、先輩から「お前のその達観して全部わかってますって態度やめた方がいいぞ」と引かれる始末。おまけに「運動系サークルはすべからくヤリサー」「ボランティアサークルは偽善者の集まり」「勉強系は意識高いアピールしていきがってます」と偏見もひどい。ゲームは好きだが、アニメマンガ研究会に対しては「自分を“そっち側”だと認めたくない」という謎のプライドに頭を抱える。

 そんな救いようのない卑屈なワカルトリとは水と油のような存在、インスタ映え至上主義のトリオンナも登場する。同じ大学に通うトリオンナはインスタのいいね命でインスタ映えするカフェを巡るのが趣味。天真爛漫で嫌味がない。おまけにワカルトリに教わったゲームを楽しそうにしたりなど、素直でいい子だ。最初はトリオンナのことをバカにしていたワカルトリも、結局彼女の圧倒的な陽のパワーによって振り回されている。

 他にも、そんなトリオンナを敵視する卑屈なメンドリや、体が大きく心の優しいジャンボさんなど、それぞれに個性が強く、いい性格をしたキャラクターが多々登場する。ネタは、日常系もあれば、漫画の構造を使ったメタ的な話もあり、とにかくなんでもアリ。終盤に進むにつれて、ミステリアスな展開まであり、最後は「え、嘘でしょ?」と呆気に取られたまま読み終えた。ネタバレになるので言わないが、気になる方はぜひ本書を読んでみてほしい。

 はたして、これはどのように続いていくのだろう。もしかして、ものすごく壮大な物語が始まるのかな。それとも、なんともなかったかのように続いていくのかな。なんでもありすぎて、逆に心惹かれている自分がいる。

文=園田菜々