「なんであの人のわがままは通るの?」職場での「正しいわがまま」を伝授

ビジネス

2019/5/21

『みんなの「わがまま」入門』(富永京子/左右社)

 この世は人と人との繋がりによって、成り立っている。特に日本では、空気が読めることや相手の気持ちを察することが美徳とされている。そのため、職場などで不満を感じたり周りとは違った意見を抱いたりしても、私たちは自分の感情をグっと抑え、角が立たないような振る舞いをすることが多い。

 だが、自分の意見を押し殺してばかりいると限界を迎えてしまうこともある。そんな風に、日頃から感情を抑え込んでいるという人は、『みんなの「わがまま」入門』(富永京子/左右社)を手に取り、わがままを言える勇気を持ってみよう。“わがまま”を通して社会の仕組みについて分かりやすく解説されている本書は、職場での人間関係で悩んでいる人に解決策を与えてくれる救済本でもある。

 わがままを言うことは自己中や自分勝手だと思われやすいが、実はそうではないという。わがままには、自分を解放し、他人を助ける力もある。なぜなら、わがままを言うことによって、自分のモヤモヤを解消し、同じような思いをしている別の誰かを救うこともできるからだ。

 わがままを押し殺していると、一時的には他人との衝突やモヤモヤがやり過ごせたように感じられる。しかし、それは根本的な解決策にはならず、我慢によって自分の将来が限定されてしまうことも少なくない。そんな事態に陥らないよう、本稿では他人のわがままの受け入れ方や、上手なわがままの吐き出し方をご紹介していきたい。

■「わがまま」を言うのは悪いことじゃない!

 職場などでわがままな人を見て、うんざりしている人もいるのでは? だが、わがままの捉え方を少し変えてみると、そんな苦しい感情にも整理がつく。

 わがままな人を見て「ズルい」と感じたり、イライラしてしまったりするのはあなた自身自分と同じ環境にいる人のことを「ふつう」だと思っているからだ。こうした考え方を著者は“ふつう幻想”と紹介している。

 私たちはみなまったく違う環境の中を生きてきており、異なる生きづらさを抱えているため、本当は平等ではなく、「ふつう」でもない。それなのに私たちは勝手に「ふつう」の基準を定め、自分と違った行動をする相手のことを「わがまま」だと思ってしまう。“ふつう幻想”が、わがままをネガティブに見せてしまっているのだ。

 こうした“ふつう幻想”を捨て去るには、人の価値観は十人十色で社会が多様化していることに気づく必要がある。それは、他人のわがままを受け止め、自分のわがままを吐き出す近道にもなるのだ。

■わがままを「意見」として伝えるには?

 とはいっても、わがままはいつでも自分の好き勝手に言えばよいというわけではない。わがままを自分の意見として通すには、いくつかのポイントを押さえる必要がある。

 まず大切になるのが、いきなり要求を表に出すのではなく、不満や不安を人と共有すること。職場環境の改善などを求めたいときは、モヤモヤの賛同者を集めてみてほしい。

 そして、伝えたい相手に直接わがままを言わないことも重要だという。直接わがままを伝えると相手に丸め込まれてしまう可能性もあるため、コミュニティに広く訴えかけるほうがいいそうだ。例えば、関係者を味方につけたり、署名活動などを行って数を力にしていったりするのもおすすめ。周囲にどう伝えようか悩む時には、趣味や生活のことと関連付けながら話すと伝わりやすくなる。

 私たちは「わがままな人」と思われないよう、自分の意見を殺しながら生きてしまいがちだ。しかし、自分の意見を主張することは、ごくごく自然なこと。多様な人々が時間と空間を共有しているからこそ、私たちは“わがまま”でいるべきなのだ。

文=古川諭香