口下手のままでも「話し上手」に見せる方法。プロが教える基本テクは「会話の●●」を決めること!

ビジネス

2019/5/22

『博報堂スピーチライターが教える 口下手のままでも伝わるプロの話し方』(ひきたよしあき/かんき出版)

 取引先との商談や重要なプレゼン、ひいては結婚式のスピーチなど、人前で話すことを“苦手”とする人は少なくありません。一方では、堂々とした振る舞いで流暢に話す人へひそかに憧れを抱くということもあるでしょう。そんな人たちにおすすめしたい書籍が『博報堂スピーチライターが教える 口下手のままでも伝わるプロの話し方』(ひきたよしあき/かんき出版)です。

 本書はタイトルのとおり、口下手もひとつの“個性”として捉えて、相手へと伝わる話し方を伝授してくれる1冊。明日からでもすぐに試せるような、実践的なメソッドがたくさん収録されています。

■核となる「動詞」を決めれば、ブレずに内容を伝えられる

「話が上手い人」と聞いて、みなさんはどんな人を思い浮かべるでしょうか。ユーモアたっぷりで場に笑いをもたらす人、独特な語り口で聞く人すべてを一瞬で惹きつけてしまう人など、さまざまな人たちをイメージするかと思いますが、気の利いた言い回しができる人というのも一例かもしれません。

 しかし、語彙は一朝一夕で鍛えられるものではなく、すぐさま思い浮かべられる言葉には限界があります。そこで、本書が提案するひとつの方法が「わかりやすいこと」を意識するというものです。

 目指すは誰に対しても分かる話し方ですが、そのときに意識するべきなのは自分が伝えたい内容の核となる「動詞」をひとつ決めることです。これは日常のコミュニケーションでも応用がきく考え方で、例えば、得意先との親睦を深めるならば「和む」と決めておく、会議でも提案を決裁してもらいたいならば「通す」といったかたちで、「動詞」を決めておけば、その後のコミュニケーションで意思がブレることもありません。

 自分にとって主な目的となることを「動詞」にしてみる。会話でも相手に対して伝わるのは一語と本書は示しています。あまり深く考えず単純に向き合ってみましょう。

■流れを変える魔法の言葉「たとえば」「具体的には」「要するに」

 話がだらだらと長くなってしまうというのも、わりとありがちな会話の悩みかもしれません。しかし、合間の言葉づかいをちょっと工夫するだけで、今のままの自分の話し方を活かすこともできます。

 本書がすすめるのは、会話中に「たとえば」「具体的には」「要するに」と一言付け加えるという方法です。事前に「今からこういう話をします」とフラグを立てて、内容に集中してもらうために使うのです。

 もちろん相手との間を意識するのは前提ですが、「たとえば」の一言には話の流れをガラッと変える効果があり、「具体的に」には抽象的な話題のあとで場を引き締める効果もあります。また、「要するに」と前置きしておけば、相手は「この先が結論なんだ」と理解してくれるでしょう。

 伝える内容を短くまとめるというのもひとつの方法ですが、それがどうしても苦手という人は、これらの言葉を駆使してメリハリをつけてみましょう。

■話し言葉では同じ言い回しを繰り返してもOK

 書き言葉では「~です。~です。」のように、同じ言い回しをたびたび使うと文章が単調になると指摘される場合があります。しかし、話し言葉では使ってもよいとするのが本書の提案です。

 理由は、スピーチなどの場面では、文章とちがって、力の入れ具合や声の高低、間の取り方を工夫すればいくらでも変化を付けられるからです。加えて、同じ語尾を続けることで独特のリズムが生まれ、言葉の勢いを加速させることもできます。

 例えば、本書で取り上げられているのはアメリカの公民権運動に尽力したキング牧師が1963年に行った演説「I have a dream」で、氏はスピーチの中で「私には夢がある」「100年後」「今こそ」と繰り返し唱えて、聴衆の心を引きつけたといいます。

 さて、本書にはこのほかにもさまざまな具体的メソッドがたくさん紹介されています。必ずしも上手く話せる必要はなく、大切なのは相手に対してきっちりと「伝える力」を鍛えるということ。明日からのビジネスの場面でぜひ取り入れてみてください。

文=青山悠