東村アキコ『偽装不倫』3巻! 嘘からはじまった偽りの恋は、絡まり合ってドツボへと加速!?

マンガ

更新日:2019/5/22

『偽装不倫3』(東村アキコ/文藝春秋)(c)東村アキコ/YLAB JAPAN(LINEマンガで連載中)

 2019年夏、ついに杏さん主演でドラマ化決定! 大反響とキケンな恋は、止めようと思って止まるものではありません。波乱含みの“偽装”不倫ストーリー、待望の最新刊『偽装不倫3』(東村アキコ/文藝春秋)も、破竹の勢いで突き進みます!

 30歳、独身、彼氏なし、実家暮らしの派遣社員・鐘子(しょうこ)は、婚活に疲れ、韓国での食い倒れひとり旅に出る。だが、韓国へ向かう機上で出会ってしまった。姉から借りたコートのポケットに入っていた結婚指輪、鐘子が落としたそれを拾ってくれた彼──ジョバンヒに。

 指輪をどの指にはめるかと彼に問われ、つい左手の薬指だと答えてしまったのが、思えば迷走のはじまりだった。年下のイケメンに、彼を恋愛の対象として見ている重たいアラサーだと思われたくなかったのだ。日本で話題の“不倫”に興味があったらしいジョバンヒは、鐘子を既婚者だと勘違いして距離を詰めてくる。一方の鐘子は、彼の言葉に、仕草に、純粋なときめきを覚えて惹かれていく。でも彼との関係は、旅をしているあいだだけ。なぜなら、彼が興味を持っているのは“不倫”であって、“私”ではないからだ。そのことを突きつけられて、これ以上傷つきたくはない……。

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 後ろ髪を引かれる思いで帰国した鐘子だが、ジョバンヒは旅の思い出になってくれなかった。彼を欺くことになった元凶、姉の結婚指輪を、韓国に忘れてきたのだ。SNSでジョバンヒが指輪を持っているらしいと知った鐘子は、ほかにどうすることもできず、彼のいる韓国へと舞い戻る!

 今回は彼とセックスしない。そのために、スニーカーを履いてきたし、色気のない洋服を着てきたのだ。鐘子の脳裏に浮かぶのは、前回帰国するときに、そっけなく思えたジョバンヒの態度。スニーカーや色気のない洋服は、誘われなくても傷つかないようにするための自己防衛だ。偶然目にしてしまった姉の“偽りの姿”のように、したたかに嘘はつけないから……そう思っていたにもかかわらず、いざ彼との対面を果たしてみると。

 危険な恋は、ケーキのようなものなのかもしれない。キレイでいようとするならば、絶対に食べてはいけない、それでも食べるのをやめられない。あとひとくちだけ、これで最後──後悔するのがわかっていて止められないのは、その甘さが、ひとときでも自分をなぐさめてくれるからだ。

 嘘からはじまった鐘子の恋は、ジョバンヒの思惑、姉の事情と絡まり合って、いよいよ抜けられないドツボへと加速。しっかりと満足感はありながら、「もっと食べたいのに……!」というぎりぎりのところで次巻へ続いてしまうのも、東村アキコ先生の手腕なんですよねえ……。

 東村先生、早めのおかわり第4巻、よろしくお願いいたします!

文=三田ゆき