Twitterフォロワー10万人!くるり岸田繁もイッキ読みの前代未聞恋愛エッセイ

恋愛・結婚

更新日:2019/6/1

『ものすごい愛のものすごい愛し方、ものすごい愛され方』(ものすごい愛/KADOKAWA)

 恋愛エッセイと言っていいのだろうか? Twitterフォロワー数10万人を誇る女性「ものすごい愛」氏が、日常を綴った本が発売された。題して『ものすごい愛のものすごい愛し方、ものすごい愛され方』。そもそも、Twitterのアカウント名が「ものすごい愛」。著者名も同様。かなりの破壊力だ。その迫力のまま、本文もグイグイと迫ってくるものがある。

 といっても、本書は、よくある「愛される女性になるため」の本ではない。むしろ、「いや、そんな男になら愛されなくて結構だ!」「自分を犠牲にしてまで得られる愛など価値はない」と言わんばかりの、爽快エッセイ。フォロワー10万人というのもうなずける、スカッとする理論に溢れた、大人の女性の提言なのだ。

 著者の「ものすごい愛」氏は、優しくて仕事にも真面目な男性と結婚する。今のところ専業主婦で、それを「恵まれている」と言う人も多い時代だろう。しかし、彼女が幸せなのは、夫に経済力があるからではない。日々自分が機嫌よく過ごすために工夫をし、夫とのコミュニケーションを粘り強くあきらめず、周囲との関係を大切にしているからだ。

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「『わたしなんてブス』の呪いにかかっている人たちへ」「感情は自己申告制」「人間のうちに逃げたい」と、並んでいる小見出しだけでも小気味よい。それぞれ、「自分をブスと言ってくるような人のことを気にする必要はない」「彼氏にスネて見せる前に、言いたいことは言ってはどうか」「人間であるうちにブラック企業を退職出来てよかった」とズバリ綴っている。

 自己犠牲や献身を歌うことなく、「処世術としてのポジティブ」を提案する本書は、まさに現代女性らしい結婚&恋愛観を提案するもの。行間からガハハと笑い声が聞こえてくるような文体も軽快で、なにより夫への愛が全開なのが微笑ましい。ロックバンド・くるりの岸田繁氏も「むっちゃ面白かった」とTwitterで絶賛! 元気がない時にこそ読んでみたい一冊だ。

文=吉田直子