周囲の誰もあなたを気にしていない。「誰かに認めてもらおう」と思う感情の落とし穴

暮らし

2019/5/27

『誰も君のことなんて気にしていない。』(神田勘太朗/きずな出版)

「認めてもらいたいのに、誰も私を見てくれない!」と、凍えるような孤独を感じたことはないだろうか。

『誰も君のことなんて気にしていない。』(神田勘太朗/きずな出版)。正直、この書籍のタイトルを読んでへこんだ。「そうですとも、誰からも気にされていませんよ」と自虐的に本を開いたものだ。

 だが読み進めていくと「メンタル矯正本だろうか?」という感情が湧き興味がそそられる。さらに進めると、その様相は変わる。本書はメンタル矯正本とビジネス本の要素をあわせ持った、夢を叶える方法が描かれた本であると気づかされるのだ。「好き」や「おもしろい」を追求した先に見える世界を教えてくれるのである。

 著者である神田勘太朗さんは、自らのことをこう語っている。

“職業はダンサーであり、会社経営者です。
 ダンスで世界一になることを目指しています。”

“子どものころからずっと、「人に認められたい」と思って生きてきました。そしてダンスの腕を磨き、いろいろなところで自分の夢を語りつづけてきました。”

 だが彼が望むような結果は得られなかった。多くの人は興味すら持ってくれないのだ。普通の人ならば、うつむき、愚痴を垂れ流し、歩みを止めてしまうかもしれない。だが、神田さんはその渦に飲まれなかった。

 彼は「カリスマカンタロー」と名乗ることで、その現実を打破していく。今ではダンサーでありながら両国国技館で日本一のダンスバトル大会をプロデュースする、まさにカリスマ的存在となっているのだ。

“「気にしてもらおう」と願えば願うほど、努力はつねに空回りするでしょう。
ならば、まずは自分で自分を認めてしまうことから始めましょう。(中略)そうしたら今度は、誰かが気にしていなくても、君が君のことを気にしてあげることができるようになるのです。”

 一番近くにいる存在は「自分自身」である。そのことに気づかずに、他者ばかり見てしまうと、無意識のうちに人と比べてしまいがちだ。

 だが神田さんのように自分を認めて信じてあげられれば「大丈夫、何とかなる」と顔を上げることができる。とはいえ、どうすれば自分を認め、歩みを進めていけるのか。そもそも「夢が見つからない」人は、どうすればいいのか。本書には、その指標となる言葉がいくつも出てくる。さらに巨額な赤字が生まれても、どのように巻き返し、1日で1万人呼べるイベントを毎年開催するまでに至ったか、そこまでの道のりなども記されており、映画を観ているような爽快感すら得られる。

“君は、君のステージに立とう”

 神田さんの言葉は、生き方に迷う時にも勇気をくれる。人には人のオリジナルステージがあるはずだ。そこで目指すべき夢に向かって進もう。まわりを気にしている時間を、自分にまわそうと気づかせてくれるのだ。とくに「Chapter3 君だけの山の頂上を目指そう」の章を読むと、もっと貪欲に生きたくなる。何が何でも夢を手に入れたくなる。

 夢を夢で終わらせそうになっていた。やりたいことをあきらめずに、進んでもいいのかもしれない。そうやって気づかせてくれ、背中を押してくれる本に出逢え、しあわせである。

文=夏野久万