これを知らなきゃ絶対売れない! 女性の購買意欲は「本当の私に戻る」ことにある

ビジネス

公開日:2019/5/28

『プリンセス・マーケティング 「女性」の購買意欲をかき立てる7つの大原則』(谷本理恵子/エムディエヌコーポレーション)

“男性は武器や装備を増やしてレベルアップを果たす。女性は魔法で一気に次元の違う世界へ──”。男女のそんな「世界観」の違いが、モノの売れ方を大きく左右する。

『プリンセス・マーケティング 「女性」の購買意欲をかき立てる7つの大原則』(谷本理恵子/エムディエヌコーポレーション)は、セールスコピーライターの著者が、女性の「欲しい!」を刺激するマーケティング法を記した1冊だ。

 まず覚えておかなければならないのは「男性と女性では求めている“ストーリー”が違う」ということだ。男性が求めるのは「冒険の中で成長して英雄になりたい」という“ヒーロー・ストーリー”。女性が求めるのは「新しい世界で自分らしく生きたい」という“プリンセス・ストーリー”だ。それらのストーリーに当てはめて、商品をアピールしていく。

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 男性の「ヒーロー・ストーリー」の主人公は、自分の力で一歩ずつ上り詰めようとする。世界を救う使命を自覚し、ゴールに向かって試練をクリアしていく。戦う理由は、旧来の価値観や秩序を打ち壊すためだ。世界を救った後は凱旋をして「ヒーロー」となる。

 男性にとって「モノを買う」という行為は、冒険で必要なアイテムを手に入れるという行為に似ている。しっかり比較検討をし、だまされないように気をつけ、買うモノを決めてから買いに行く。それを手にいれることで「人からモテる、何かに勝つ」など客観的な評価を得ようとする。

 一方、女性の「プリンセス・ストーリー」の主人公は「本来の輝く自分」に戻ろうとする。“生まれながらのお姫様”を自覚し、本来自分がいるべき場所へと向かおうとする。戦う相手は「古い世界に押しとどめようとする力」だ。ゴールは、新しい世界で自分らしく生きること。

 女性にとって「モノを買う」という行為は、本来の自分に戻る魔法を探すことだ。買い物は「運命の出会い」。魔法をかけるだけなので「努力」は不要である。“モノ”を手に入れることで「ワタシらしい」という主観的な満足を求める。

 これらを踏まえて、女性がターゲットの商品にはそれ相応の“本来の自分を取り戻す”ストーリーを付けてあげると効果的だ。女性が見たい“未来”は、現在の延長にはない。運命を変える別の世界のなかに、“未来”がある。「本来の自分はもっと価値のある存在だから、もっと自由になって、もっと解放されて…」と想像させるために、売り手は「物語に登場する魔女」になって彼女たちを導いてあげる必要がある。なぜなら、女性は、生まれながらのプリンセスで、今はちょっと違う場所にいるだけなのだから。

 本稿を書いている私自身、女性として、商品を選ぶときの自分の心理がはっきりと文章になっているのを見て大いに納得した。「私はこんなはずではない。次出会うものこそは、私の本当の姿に変えてくれる商品かもしれない」と期待することがよくある。まさに、いまは偽りの姿で、本来輝いている(はずの)自分を早く取り戻さなければならないという感覚だ。そのためには自分を理解している魔女(売り手)と出会い、一瞬で世界が変わる魔法(商品)をかけてもらう必要があるのだ。

 買い手をワクワクさせること、それはモノを売るうえで、最大限に手をつくすべきことだろう。これから女性をターゲットにしたモノをつくるという方や、その商品のアピールに行き詰まっているという方は、ぜひ本書を読み、「プリンセス・マーケティング」という名の魔法で女性の心を掴んでほしい。

文=ジョセート