吉本ばななと一緒に見つける「本当の自分」。誰もが持っている潜在意識“ウニヒピリ”とは?

暮らし

2019/9/25

『ウニヒピリのおしゃべり』(吉本ばなな、平良アイリーン/講談社)

「ウニヒピリ」は、ハワイ語で「潜在意識」「内なる子ども(インナーチャイルド)」を意味する言葉。吉本ばななさんがこのウニヒピリをテーマに描く短編小説では、主人公の友人・由美子がウニヒピリのことをこう表現している。

「それは、私の中にいる、昔から、どんなときでもいっしょにいる、小さい女の子。」

 初めて「ウニヒピリ」という言葉を聞いた主人公は、「なんか宗教にでも入った?」「頭は大丈夫?」といぶかしがるが、由美子はそれをやんわり否定してこう続ける。

「私たちがいくら年をとっても、その女の子はお腹の底にいる。そして、いつもないがしろにされてきたから、いつでも淋しがっている。(中略)だから、いつもその子のために、その子が喜ぶものを持って歩いたり、選んだりするだけで、人生の可能性がほぼ無限と言っていいほど広がるのよ。」

『ウニヒピリのおしゃべり』(吉本ばなな、平良アイリーン/講談社)は、自分の中の内なる子ども「ウニヒピリ」と対話することで、“生きやすさ”を目指そうと語る著者ふたりによる対談を中心とした1冊。ふたりは、古代ハワイから伝わる問題解決法「ホ・オポノポノ」のクラスを通じて出会ったという。先ほど紹介した短編小説は、本書の冒頭に収録されているものだ。

■ウニヒピリとおしゃべりすることは、忘れてしまったかつての自分と向き合うこと

 社会生活でも日常においても、あるいは会社や学校などの組織や家族間でも、本音をさらけ出して語るのは難しいと感じている人は多いはずだ。どこかで無理しているとわかっているのに、本心を隠しつづけ、そのことで心は疲弊し、いつもどこかで生きづらさを感じてしまう…。本書によると、どんな場面でも自分らしく生きるためには、「ウニヒピリをケアして愛すること」が大切だという。

 著者ふたりの語りに耳を傾けてみると、意外なことに「ウニヒピリを大事にする」というのは意識さえすれば誰でもチャレンジできることのようだ。たとえばそれは、本来自分がどういうことでワクワクしたり、リラックスしたりできるのかを探ること。あるいは、「これはいやだな」という素直な声に耳を傾けることでもある。

 自分の好きなことをする時間をきちんと作ったり、心身を癒すツールや場所に頼ってみたり、気の進まない用事について断りを入れてキャンセルしてみたり…。自分の胸の奥にある「本音を無視しないこと」が、自分を大切にして生きていくことにつながるのだ。

 古代ハワイから伝わる問題解決法には、「クリーニング」という、思考のクセやモヤモヤと溜まった感情をきれいにする方法があるそう。やり方を簡単に紹介すると、「今いる場所で、そのとき現れる感情、思考に向けて“ありがとう、ごめんなさい、許してください、愛しています”と心の中で唱える」というものだ。本書のページを開けば、この「クリーニング」についてもっとくわしく知ることができる。この方法を習慣化することができれば、自分自身の人生の可能性をもっと広げることができそうだ。

 前掲の短編小説に登場する由美子は、「ウニヒピリ」についてさらにこう語る。

「いつもそうなの、子どもは、どの子だって、ビーズや、好きな絵本や、偽のコインでバッグをぱんぱんにしてる。(中略)むだなものがいちばんキラキラしていて、人生はそういうのを食べたがってるってわかってるんだ。」

 自分の中にいる“小さな子どもの自分”。その小さな自分が大好きだったキラキラしたものを、大人になった今では、なんとなくムダだと思ったり価値観を否定したりしてしまう…。日々の忙しさや他人の決めた固定観念のなかで忘れてしまった、そんな「ウニヒピリ」と対話することを通じて、自分をずっと縛りつけてきた「生きづらさ」からも解放されるかもしれない。

 自分の内面やそこにポツンと置き忘れてきてしまった本音ときちんと向き合う。本書はそんな大事なことに気づかせてくれる1冊だ。

文=ジョセート

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