言葉が詰まる!相手の反応が怖い!上手に褒められない!会話下手なら知っておきたい「気の利く大人のひと言目」とは

ビジネス

2019/5/29

『気の利く大人のひと言目』(齋藤孝/東洋経済新報社)

 社会で生きていると誰とも接することなく生活することは案外難しいものです。特に、大人になるとママ友や親戚の集まり、職場など他人とのコミュニケーションが必要となる場面は多くあります。そして、そのような場でうまく立ち回っている人は、気の利いた言葉を使える会話上手な人であることが少なくありません。

『気の利く大人のひと言目』(齋藤孝/東洋経済新報社)は、話し下手な人でも上手に会話をするための“使える言葉”を紹介した本です。シリーズ累計260万部を超える大ヒット本『声に出して読みたい日本語』(齋藤孝/草思社)の著者であり、コミュニケーション論を専門のひとつとする齋藤孝氏が、会話の始まりで使うと効果的な“気の利く一言目”を目的別に紹介しています。新社会人となる学生だけでなく、すでに社会人であっても話し下手であることに悩んでいたり、コミュニケーションにストレスを感じていたりしているのであれば、参考にしたい内容が盛りだくさんです。

 たとえば、話し下手の人に多い悩みのひとつに「会話が続かない」というのがあります。相手からふられた話の内容に続くような話題やネタがとっさに頭に思い浮かばず黙り込んでしまって、会話をフリーズさせてしまった経験はありませんか。また、とりあえず会話をつなげることはできても、的外れな返事をしてしまい、その場を盛り下げてしまったり、気まずい空気にしてしまったりした経験のある人もいることでしょう。

 そのような悩みを持つ人におすすめの言葉が「○○と言えば」だといいます。相手の会話のなかに出てきた単語を拾い、「○○と言えば」という切り出しで話を返す方法です。自分でゼロから話題を見つけることが苦手な人でも連想ゲーム感覚で話をつなげることができます。また、相手が話した内容と常に共通のキーワードで会話を続けることができるので、相手を困らせてしまうようなチンプンカンプンな返しをするリスクを避けることも可能です。ビジネスの場で使えはブレインストーミングのような効果にも期待できるといいます。

 さらに、この言葉の便利な点は、上手に使いこなすことにより、話を続けたいときだけではなく、話題を終わらせたいときにも利用できることです。たとえば、慶應大学に入学した息子を自慢する上司との会話を終わらせたいとします。そのようなときには、「慶應と言えば、福沢諭吉の『学問のすゝめ』ですが…」と返せば、話の腰を折らずに話題を消すことができると著者は話します。そもそも、息子の自慢をしたいだけの上司は『学問のすゝめ』に対しては興味がないので、その話題を続ける意味がなくなるからです。

 また、相手を褒めるときには、「むしろ」の使用をすすめています。褒め言葉は大人の口から出ると、時にわざとらしく聞こえることがあります。たとえ、それが本心からの言葉であっても、別の意図があるのではと疑われたり、お世辞や社交辞令と受け取られてしまったりすることも少なくありません。

 たとえば、「最近、お肌の張りがなくなってきちゃって」と話す相手に対して「そんなことありませんよ」と答えるだけでは大人の会話として物足りず、だからといって「お美しいですよ」と付け加えてみたところで取ってつけたようなお世辞にしか聞こえないことがあります。そこで、「むしろ」の出番です。「むしろ」は自分の意思表示として褒めていることを強調する際に使用でき、使うときにはポジティブな内容と具体的な言葉を合わせることがコツだといいます。先程の会話の例でいえば、「いやいや、そんなことありませんよ、全然どころか、むしろ頬なんて20代の張りですよ!」と返すのです。具体的な言葉を入れることでリアリティーが生まれて本気度が伝わりやすくなると著者はいいます。

 本書では、印象アップに期待が持てる言葉だけではなく、印象ダウンにもつながりかねない注意しておきたい言葉や、大人社会ならではのひっかけのような会話への対応法についても解説しています。さらに、いいにくい話を、相手に不快な思いをさせることなく伝えたいときに便利な言葉なども紹介されていて、とても実践的です。本書の会話術を習得し、苦手だった会話に自信が持てるようになれば、コミュニケーションをより楽しめるようになることでしょう。

文=Chika Samon