羊肉が臭いというのは昔の話! すぐ真似したい羊肉料理を人気店のプロが伝授

暮らし

公開日:2019/6/1

『家庭で作るおいしい羊肉料理』(菊池一弘、羊齧協会:監修/講談社)

 羊肉は、ダイエットに効果的な脂肪燃焼物質L-カルニチンというアミノ酸を豊富に含んでいることも評価され、近年3度目のブームを迎えている。それによって身近なスーパーでも入手しやすくなり、今や一過性の流行ではなく、牛、豚、鶏と並ぶ「第4の定番肉」として広まりつつある。

 だが、実際に羊肉を買っても「家族でジンギスカンにしようか」と考えるくらいの料理法しか浮かばないという人も多いのではないだろうか。また、「羊肉は匂いや食感のクセが強い…」というイメージがあって手を出せずにいる人もいるかもしれない。

 そういった「家庭での羊肉料理」に対しての壁を一気にとっぱらってくれるのが、『家庭で作るおいしい羊肉料理』(菊池一弘、羊齧協会:監修/講談社)だ。本書は、星付きの名店や予約が取れない人気レストランで活躍するプロのシェフたちの知恵と技術が詰まった、「家庭でも無理なく簡単に作ることができる羊肉料理」を集めたレシピ本だ。

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■羊肉が硬くて臭いというのは昔の話!? プロが教える上手な扱い方

 羊肉というと、硬くて臭い、「家の台所では扱いにくい肉」だと思われがちだが、ブームが広がって日本人も慣れてきたこともあり、食べやすい羊肉の流通量がぐっと増えている。しかし、せっかくおいしい羊肉を買ってきても、扱い方を知らないと残念な結果に終わってしまう。そうならないためには、まずできるだけ鮮度の高いものを購入し、温度変化と光を避けて冷蔵庫(できればパーシャルフリージング)で保存して、新鮮なうちに食べるのが良いそう。

■和洋中にエスニック…羊肉は幅広い味付けと相性抜群!

 羊肉は扱いにくい、というのは、他の肉に比べてあまり馴染みがないから。実は、フレンチ、中華、エスニック、和風などさまざまな味付けに対応できるポテンシャルの高さを備えている。どの羊肉料理にも全体的に共通するポイントは、薬味や香草、スパイスをうまく組み合わせること。これらの香りや風味が、羊肉ならではの肉のうまみを最大限引き出して、家庭でも奥深い味わいを演出してくれるのだ。

 …と、解説を読むと頭では理解できるけれども、実際どんな味になるんだろう? と気になりだした人も多いだろう。そこで、筆者も近所の大型スーパーで羊肉を購入し、本書で紹介されている「よだれ羊」を作って食べてみた。

▲大人気メニューよだれ鶏の羊バージョン!(本書26頁)

 茹でた羊肉とレタスに、ねぎやにんにく、カシューナッツを組み合わせたタレをかけるだけの簡単料理だが、タレと羊肉のうまみが想像以上の相乗効果を生む。中華料理店でも見かけるよだれ鶏の羊バージョンなのだが、いやな臭みなどはまったくなく、食べやすい味に仕上がっていた。羊肉って、家でもこんな簡単においしく食べられるのか…!

 この『家庭で作るおいしい羊肉料理』には、すぐ作ってみたくなるレシピや、基本的な羊肉の扱い方だけでなく、部位別の特徴や羊の種類、さらに羊肉のおいしい料理が食べられる飲食店や羊肉が買えるネットショップなど、羊肉について知りたい情報が網羅されている。

 日頃からあらゆる羊肉料理を愛し親しんでいるという消費者中心の団体「羊齧(ひつじかじり)協会」の監修だからこそ、初心者ではなかなか思いつかないような通好みのレシピも豊富! 今回作った「よだれ羊」以外にも、「ラムチョップのソテーアンチョビソース」、「羊とセロリのジャーミン風炒め」なども気になるし、定番メニューのメインを羊肉に置きかえた「羊おでん」「ラムじゃが」にもチャレンジしたいところだ。

▲ラムチョップのソテーアンチョビソース(本書16頁)
かんたん&おいしい定番ごちそうになりそう!

▲ラムじゃが(本書24頁)
和食の定番・肉じゃがをアレンジ

 今まで羊肉に抵抗を感じていた人、また、外食ではとても親しんでいたのに家庭で羊肉料理を作ることにハードルを感じていた人にこそ、本書をその距離を縮めるきっかけにしてもらえたら、と思う。筆者もこれから、肉料理のバリエーションが大いに増えそうだ。

文=きこなび(月乃雫)