恋愛は生存戦略そのもの――。「侵略的婚活」を目的に地球に来た美女異星人の誘惑に耐えられるか!?

マンガ・アニメ

2019/6/2

『乙女のはらわた星の色』(いしとゆうら/集英社)

 相手の良いところを見つけるのが得意で、素直に口に出すことができる人間は魅力的だ。たとえ自分の信念と反する相手であったとしても、決して否定せず、相手のことも受け止めようとする。そんな人は異性にも同性にもモテると思うのだが、『ジャンプSQ.』にて連載中のマンガ『乙女のはらわた星の色』(いしとゆうら/集英社)に登場する主人公・ゲンもそんな男子であった。

『乙女のはらわた星の色』は、宇宙から「地球人と子をなすため」来訪した異星人と、地球人としての純血を守りたい童貞の男子高校生・ゲンの物語だ。

 20年前、地球に突如現れた“ウェーヴェ人”と名乗る異星人。異なる種とも子をなせる彼らは、その能力で多様性を獲得し、進化を遂げてきた。今では去年の新生児の半数近くが、地球人とウェーヴェ人の混血児である。

 物語は、そんな状況を危惧したゲンが、国政のトップへ上りつめ地球人の保護政策を実現するため、日本初の地球人とウェーヴェ人の共学校であるエリート校・森陵学園に入学するところから始まる。しかしいざ学校生活が始まると、「婚活学園」とも言われ、異性交遊を奨励している学園は、あちこちでイチャイチャするカップルがいた。おまけに恋に生きる種族でもあるウェーヴェ人の美女たちは、あの手この手でゲンを誘惑するのだが――!?

 本作では、「誰とどのような恋をするか」は己の存在意義を決定付ける程の意味を持ち、「恋愛上手」であることがステータスであるウェーヴェ人と、地球人が紡いできた文化や歴史が失われることを恐れ、ウェーヴェ人と交わることを頑なに拒否しつつも、彼女たちに翻弄されるゲンの葛藤がコミカルに描かれる。

 ゲンのことを誘惑するウェーヴェ女子は、それぞれ特徴的な外見と、能力を持っているのが印象的だ。例えば、誰かに恋をすると発情と求愛のサインとして「発火」する能力があるミリカ。ゲンは文字通り「燃えた」ミリカのせいで危険な目に遭うのだが、これまで他人に避けられ続けたミリカの胸中を慮り、彼女と友達になる。その様子を見たウェーヴェ女子たちは、ゲンを一目置くようになり、彼はモテモテの学校生活を送ることに…!

 ケモミミと尻尾が生えた可愛らしいタレラの撮影会をして楽しむこともあれば、触れた相手の快楽中枢を操作できる能力を持つ美人のキゥリプに迫られ、全身から放たれる最高出力の快楽パルスをくらい、危機に直面することもある。

 だが、どの女子と対峙しても、それがたとえ己の信条に反する相手であったとしても、快楽に溺れてズブズブの関係にはならず、人間として魅力的な面を本人に伝え、人として尊重し、愛そうとするゲン。彼もまた一筋縄ではいかない性格と魅力を持つ男子なのだと感じた。

 しかし、一体彼がいつまで“恋をするためだけ”に地球に来た彼女たちの誘惑に耐えられるかはわからない。ウェーヴェ人の意外な「恋愛の矜持」やゲンとは正反対の地球人男子・ミツヨシの突っ込みもおもしろく、読み応え満載の作品である。ぜひ手に取って胸を高鳴らせてみてほしい。

文=さゆ