広く浅くより狭く深く? 現代ならではの“ピンポイント人脈”を築くのが鍵!

ビジネス

2019/6/4

『内向的な人のためのスタンフォード流ピンポイント人脈術』(竹下隆一郎/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 仕事が終わってからも異業種交流会や誰かとの会食に精を出し、“人脈作りだ”と奔走する人たちがいる。いや、もちろん本人の努力は認めたいところだが、知り合った人数や相手のスゴさが本人の評価に繋がるかといえば、クエスチョンにもなるだろう。

 広く浅くの交友関係よりも、狭く深くの“ピンポイント人脈”こそが現代にふさわしいと主張するのは、書籍『内向的な人のためのスタンフォード流ピンポイント人脈術』(竹下隆一郎/ディスカヴァー・トゥエンティワン)だ。

 元来「人嫌い」だったとしつつも、人間関係が原資となりうるメディアで働く著者は「大事な少人数の個人と、熱量がある『深い関係』を結んでいた方が、仕事も生活も楽しめて、結果を出せる時代になった」と説く。

■かつての価値観とは異なり“内向的”な時間が大切になってきた

 従来のトップダウン式ではなく、現代はボトムアップのリーダーが求められると指摘する著者。その要因にあるのはSNSの普及であり、業界や肩書きを問わず「本当に会いたい人」とコンタクトが取りやすくなったからだという。

 では、そんな現代の環境をどう活かすべきか。鍵になるのが、本のタイトルにもある「内向的」というキーワードだ。

 がむしゃらに頑張るだけが評価されていた時代は過ぎ、現代は「外でバリバリ働くだけの人は尊敬されなくなった」と著者は主張する。その代わりに著者が意識しているのは「生活と仕事の両立」で、仕事が終われば自宅で「内向的な自分と向き合い、家庭の中でのゆったりとした時間や家族を含めた生活」を過ごせるように心がけているという。

 生活をないがしろにしてしまえば、いずれ無理がたたる可能性もある。適度にせわしなさから解放されて、ときには“遊び”や“余裕”を持つのも大切だ。

■好きを磨き上げて“ピンポイント人脈”を築くための3つのポイント

 狭く深くの“ピンポイント人脈”を築くには、いくつかのコツがある。ここでは本書から、3つのポイントをピックアップして紹介してみたい。

1)まずは7人の「好きな人」を見つける

 ビジネスにしても、差別化のためには「経営トップの理屈抜きの情熱や、厳しい人生の様々な修羅場を通して鍛え上げた『好き』という感情」が欠かせないと指摘する著者。この“好き”という感情を磨き上げるためにも、はじめるべきなのが自分にとって「7人の『好きな人』を見つける」という方法だ。

 SNSが全盛の現代では、個人のパワーが重要な鍵を握る。ただ、上下関係や利害関係にはストレスもつきまとい、ゆるくつき合うには「本当に好きな人」を見つけるのが必須。そのため、まずは自分にとって「好きなものとは何か」「好きな人とは誰か」と向き合うことから気楽に考えてみるのがよい。

2)「うん、でもね」「そうは言っても」を口にする人は相手にしない

 本書では「YES、BUT」型と称されるこのタイプ。こちらの言ったことをいったんは受け止めながらも、あとで「留保」されると議論の着地点が見えなくなる可能性もある。著者の経験では、相手から「NO」と返ってきたときには代案が、「YES」と返ってきたときは別のアイデアがと、いずれにせよ議論が活発になったというが、反面教師としても覚えておきたいポイントだ。

3)名刺交換後、まったく別の会話をはじめる

 著者は名刺交換をしたあと、その内容自体には注目せず「企業名や役職名に触れずに、『最近気になったニュース』などまったく別の話題を振る」という。いわば素の部分を引き出し“親密度”を上げるという方法だが、自分が「本当に好きな人」を見つけるのはもちろん、相手との距離感を縮めるためにも欠かせない。

 人脈の本質は会社名や肩書きではなく、相手と心地よさを共有しながら付き合うことのようにも思える。本書は、ときには“ゆるさ”とも表現される、現代ならではの人との距離感や温度差を学べる1冊だが、あらゆるビジネスの場面でもきっと役立つはずだ。

文=カネコシュウヘイ