やってはいけない質問の仕方って? 知性を感じさせるコミュニケーションのコツ

ビジネス

公開日:2019/6/5

『【イラスト&図解】コミュニケーション大百科』(戸田久実/かんき出版)

 日々の仕事を進める中で、周囲の人とのコミュニケーションは大切だ。うまくいけば物事がスムーズに進むが、失敗すると大きなストレスを抱えることも。プライベートであれば、言いづらいことは言わないという選択肢もあるが、仕事となるとそうもいかず、伝え方を間違えると、その後の関係性にも影響を与えかねない。さらに、会社などでは上下関係もあるので、特に目上の人とのコミュニケーションでは、考えすぎてどうしたらいいか分からなくなってしまうこともあるだろう。

『【イラスト&図解】コミュニケーション大百科』(戸田久実/かんき出版)では、いい関係を築くための「伝え方」を徹底解説。日々の生活で遭遇するシチュエーションを例に挙げ、適切な伝え方と、やってはいけない伝え方を、イラストを交えて紹介している。それぞれのシチュエーションは、「伝える」「聴く」「質問する」「切り出す、切り返す」「大勢の前で話す」「仕事以外で会話する」の6つのカテゴリーに分類されている。

■へりくだりすぎる言葉を使うと見下される――伝える

「このようなことをお願いするのは大変恐縮ですが、ダメなら断っていただいてもかまいません。本当に申し訳ありません」
「お忙しいところお手をわずらわせてしまい、申し訳なくて…大変心苦しく思います」

 仕事の相手に丁寧に伝えようとして、このような表現を使うことはないだろうか。心当たりのある方は要注意。著者によれば、このような表現を多用する人は、「仕事が丁寧」と思われるよりも、相手から見下されてしまうことが多いそうだ。さらに、「すみません」を多用しがちな方も、相手に不快感を与える可能性があるので気をつけよう。

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■人の話が整理できない人は、自分の話の整理もできない――聴く

 仕事で発表や報告をする際、とても分かりやすく話す人もいれば、要点が曖昧で分かりづらい人もいる。後者のようなタイプに出会うと、「この人の話は分かりづらい」とレッテルを貼り、熱心に話を聴くのをあきらめてしまいがちだ。しかし、実はこのタイプに出会った時こそ、論理的に話す力を磨くチャンス。相手の話を聴きながら整理し、それを要約するクセをつけることで、自分が話をする時にも、内容を整理しながら要点を明確にできるようになる。整理をする時には、この3つのコツを心に留めておこう。

1.相手の話の大事なキーワード、ポイントを復唱確認しながら聴く
2.一番言いたいことは何かをつかむ
3.項目分けをする

■意図が分からない質問は相手を戸惑わせる――質問する

 仕事の場面では、質問の仕方も大切。というのも、本書によれば、「質問には、その人の知性や考察の深さが表れる」そうなのだ。例えば、相手が一番伝えたいことを確認する時は、こんな風に聞いてみるといい。

「〜がとても大事だということですよね?」
「〜のように理解しましたが、よろしいでしょうか?」

 相手に興味を持っている、もっと知りたいということを伝えたい時には、こんな聞き方をしてみるのがオススメだ。

「しっかり理解したいので、お尋ねしてもいいですか?」
「〜の成功例はありますか?」

 その一方で、やってはいけないのは、この聞き方。相手を戸惑わせてしまう可能性があるので、十分に注意したい。

「◯◯さんの話を聞いている間に私の考えとは違うなって思ってしまって、私はいったいどうしたらいいんでしょうか?」

 日々の生活で、周囲の人とのコミュニケーションを避けては通れない。さらに、友達付き合いとは違い、仕事の人間関係では、気を使わなくてはならない場面も多々ある。特に社会人経験が少ない時や転職をした時などは、新しい環境で戸惑うことも少なくないだろう。そんな時、ほんの少し注意するだけで、今よりもっと良好な人間関係を築くことができるなら、試してみて損はない。本書では、そのためのヒントが数多く紹介されている。仕事でのコミュニケーションを円滑に進めたい方にはもちろんだが、プライベートのコミュニケーションに役立つ情報も掲載されているので、多くの方に参考にしていただけそうな1冊だ。

文=松澤友子