中国ってなんなんだ!? 不潔な市場でもキャッシュレス対応は完璧 この国はS級? B級?

社会

2019/6/13

『中国S級B級論 ―発展途上と最先端が混在する国』(高口康太:編著、伊藤亜聖、水彩画、山谷剛史、田中信彦:著/さくら舎)

「中国人は日本に行けば、平均的な日本人に出会える。日本人が中国に来ても、平均的な中国人には出会えない。なぜなら平均的な中国人が存在しないからだ」

 これは著者のひとりが中国で出会った学生に言われたことだという。中国は“S級”(先進性)と“B級”(後進性)が共存しており、世界でも所得格差の大きい国である。その暮らしはばらつきが見られるため、平均的な中国人が存在しないというわけだ。

『中国S級B級論 ―発展途上と最先端が混在する国』(高口康太:編著、伊藤亜聖、水彩画、山谷剛史、田中信彦:著/さくら舎)は、日本とは違う形で発展を遂げる中国の今を描き出す1冊である。

 中国は結局、進んでいるのか、貧しいのか? 中国は日本よりはるかに進んだキャッシュレス社会であるし、最新のテクノロジーが次々とビジネスに活かされ、中国企業が世界のトップ企業と肩を並べていることはもう当たり前だ。しかし、中国には取り残されている部分があるのもなんとなく感じるだろう。中国のことをよく知らなくても、後進的な部分が消えてしまったというイメージはない。「貧しい、不衛生、パクり商売」というマイナス面はいまだ存在するように思える。

 中国は果たしてS級かB級か。実は「どちらだ」とは言いきれない。「どちらもある」のだ。先進性と後進性が入り混じる国、それが中国である。中国の成長のしかたは日本とはなんだか違うと感じないだろうか? 実は、追いかける側は先進国がどのような成長をしているか知っているから、最先端へのショートカットができるのである。途上国が先進国の歩んだ道をショートカットして一足飛びに最先端に行きつく現象を「リープフロッグ(カエル飛び)」と呼ぶ。

 中国でS級のものといって思い出されるのが、米国からの制裁が大きなニュースとなっているファーウェイだ。ファーウェイが設立された深圳(シンセン)市はハイテク企業が集う“未来都市”である。スマホがあればあらゆる決済ができるので、財布を持たずに出かけることができる。外出すると、配車アプリですぐにタクシーが来る。車を降りるときにも現金を支払う必要はない。モバイル決済口座から自動的に支払いが行われるからだ。乗客によるドライバーの評価がたえず行われているため、普通のタクシーよりもサービスはずっと良い。

 ところが深圳のようなきらびやかな街から1本外れると、昔ながらのボロボロの建物が並んでおり、諸肌脱いだ作業員が荷物を運んでいるといったことはよくあるそうだ。肉屋や八百屋が並ぶ市場に行くと、スマホのモバイル決済に対応している“先進性”と、清潔とはいいがたい売り場という“後進性”が同居しているという。これが中国の今のリアルである。

 本書は、政治から社会、生活まで多面的な視角から中国の現状と変化を読み解いている。S級かB級か、二者択一では語れない独特の成長を見せる中国。最先端と発展途上国が混在するこの大国を無視するわけにはいかない。

文=ジョセート