「私は20億稼いで人生に勝利する」絶望の淵で少女が抱いた野望とは?

マンガ

公開日:2019/6/8

『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』(FUNA:原作、モトエ恵介:漫画 /講談社)

「20億稼いで人生に勝利する!」天涯孤独になった少女が、一生生活に困らないだけのお金を稼ごうと奮闘する物語。それが『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』(FUNA:原作、モトエ恵介:漫画 /講談社)だ。

絶賛ブレイク中! 天涯孤独になった少女の異世界転移ストーリー

『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』はもともとは小説である。ライトノベル作家の登竜門といわれる投稿サイト「小説家になろう」で4000万PVを超える大人気ノベルだ。

 コミカライズ版の本作は、シリーズ累計で20万部を突破。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで大ブレイク中の作品なのだ。

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 本作の主人公は、大好きな両親と兄を一度に失い天涯孤独になった少女、山野光波(やまの・みつは)。

 孤独になったうえ、大学受験にも失敗。途方にくれている彼女を、さらに悲劇が襲う。トラブルに巻き込まれ崖から転落してしまう。

 コミカライズ版は、光波が気がつくと知らない天井をみているシーンから始まる。目が覚めたそこは、言葉もわからない世界のベッドの上だった。そう、光波は地球とは別の世界に飛ばされていたのだ…。

 こう書くと立て続けに悲劇に見舞われる薄幸の少女の物語のようだが、光波はそんな弱々しいヒロインではないのである。

見た目は少女! 中身はタフガイ? 老後の安泰のため、目指すは20億円!

 光波は18歳だが中学生にも間違えられるほどの童顔。だがとにかく精神的にタフだった。悲しみにくれつつも、老後までをどう生きるか、人生設計をどうするかをしっかりと考えていた。

 彼女は、自分が異世界に転移したのは、世界を渡る謎の存在と同化したからだと知る。

 驚きつつも、彼女はその謎の存在から、転移能力に加えて“言語知識の習得能力”、“治癒能力”をゲットする。

 能力を手に入れた時に彼女が考えたことは「これもう進学や就職に悩む必要ないじゃん!?」だった。

 文明レベルが地球より劣る世界と、地球を転移しつつ、お互いの世界で価値の高いものをやりとりし、稼ぐ。

 万が一転移能力が消失してもいいよう2つの世界に拠点をおき、それぞれ10億ずつの財産をつくる。

 これが本稿冒頭のセリフ、「20億稼いで人生に勝利する」であり、“8万枚の金貨を貯める”という本作のタイトルにつながる野望なのだ。

 本作はちょっと黒…いや、たくましい光波の異世界マネー・メイキングストーリーなのである。

光波は戦い、稼ぎ、野望に近づいていく

 光波はミリタリーオタクだったお兄ちゃんとの会話を思い出しつつ、その身ひとつで猛獣や悪人と躊躇なく戦う。

 このド迫力な戦闘シーンはコミック版ならではのみどころだ。

 光波は転移能力と言語習得能力を使って私設傭兵組織とわたりあい、武器を手に入れ、訓練を受ける。

 さらに人のいい異世界の民や領主とつきあい、一歩ずつ野望に近づいていくのだ。店舗経営、王侯貴族とのコネクションづくり、異世界で奮闘する光波は、いつしか戦争に巻き込まれていく…。

 コミック版は最新巻の4巻が発売したばかり。タフで前向きな童顔美少女が野望を叶えていくさまを、ぜひ楽しんでみてほしい。

文=古林恭