ネットの見すぎ、食べすぎ飲みすぎ、面倒な人間関係…やめたいことから脱却するには?

マンガ

更新日:2019/6/10

『ずっとやめたかったこと、こうしてやめられました。』(汐街コナ/サンマーク出版)

 ネットの見過ぎやゲームのやりすぎ、甘いものを1日も我慢できない、ついつい飲み過ぎて二日酔い――「依存」という言葉を見ると「自分には関係ない」と思う人も多そうだが、誰でも「やめたいのにやめられなかったり、ついやりすぎてしまうもの」は何かしらあるはずだ。

『ずっとやめたかったこと、こうしてやめられました。』(汐街コナ/サンマーク出版)は、自身もネットにはまりがちな著者が、さまざまな「やめたいこと」を克服した13人にインタビューしたコミックエッセイである。

■すきま時間にだけやっていたはずなのに、1日でスマホを6時間見ていた

「やめたいことをやめる」ための第一歩は「気づく」ことだ。

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 本著の冒頭では監修者でもある大石クリニックの大石雅之医師と汐街氏の対談がある。その中で汐街氏は「スマホを見過ぎてしまう」と話していたが、ちょっとやりすぎてしまう程度だと本人にはさほど危機感はない。

 しかし1日のスマホ利用を調べたところ6時間27分と出てショックを受ける。しかしこの「ショックを受ける」ことこそがやめたいことをやめるための第一歩と言える。危機感がなくては、そもそもなんとかしようとするやる気すら出ない。

■毒親やブラック企業といった「人間関係」のモヤモヤを断ち切った人も

 本著は汐街氏とやめたいことをやめた13人との対談形式で進む。やめたかったことの対象はネットやゲームのほか、買い物、アルコール、ギャンブル、さらにブラック企業を辞められない、毒親との関係を絶てない、恋人ができると束縛を止められないといった、人とのつながりまで多岐にわたる。

 その対象はさまざまだが、彼らがどうやってやめたいことをやめられたのか、という過程には案外共通点がある。そこにはやはり一瞬で、次の日にはすっかりよくなっているような特効薬めいたものはなく、長年の生活で作られてしまった「やめたいのにやめられない」の回路を、少しずつもとに戻していくという、コツコツとした地道なものだ。

■ポイントは問題を「一つずつに分ける」こと

 しかし「コツコツ」ほど難しい。やめたいことをやめるためのヒントとして、大石医師は自分の行動を細かく区分し、その上でよくない行動は何かを認識し、それを「一つずつ」変えることを推奨している。

 この「一つずつ」が大切なのだろう。もともと長年の習慣で積みあがった「やめたいのにやめられない」に対し、次の瞬間からそのすべてに一切手を出さない、というのは現実的ではないし、うまくいかずに自己嫌悪が増すだけだ。そもそもアルコールやゲームの場合、まったくやらなくても生活自体はできるが、買い物やネットの場合、それらをすべて避けるのは無理だろう。

「一つずつ」にするために「やめたいのにやめられない」ことを分ける必要があると大石医師は指摘している。「やめたいのにやめられないこと」という強敵を一撃で倒すのは難しい。しかしこの強敵の中から、今日できる対策はなんだろう? と問題を冷静に分析し、実践し、試行錯誤していく地道さの先に「やめたいことをやめられた」新しい生活があるのだろう。

文=石徹白未亜