話題の「ファーウェイ」をわかりやすく解説! GAFAに負けない中国IT企業は日本にどんな影響をもたらす?

ビジネス

2019/6/13

『GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略』(田中道昭/日本経済新聞出版社)

 最近、ニュースで「ファーウェイ(Huawei)」の名前を聞くことが多くなった。2018年12月に同社のCFOが米国の要請に応じてカナダ当局に逮捕されて以来、その動向について注目度は高まるばかりだ。とはいえ、「ファーウェイはどんな会社?」と問われても、私を含めて多くの人は「中国のスマホメーカー」くらいの認識ではないだろうか。日本では、「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)」の存在感が非常に大きい一方で、中国のIT企業が現在どこまで進化しているのかを実感する機会は少ないのが実際だ。

 本書『GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略』(田中道昭/日本経済新聞出版社)は、アメリカのGAFAに加えて、中国で影響力を増す「BATH」、そして、これらの巨大IT企業を取り巻く“米中新冷戦”の構図を解説するビジネス書だ。BATHとは、バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイの頭文字。本書は、以下の組み合わせでGAFAとBATHの戦略を比較して説明する。

・アマゾン×アリババ(Eコマースからスタートした2社)
・アップル×ファーウェイ(「メーカー」「ものづくり」からスタートした2社)
・フェイスブック×テンセント(SNSからスタートした2社)
・グーグル×バイドゥ(検索サービスからスタートした2社)

■ファーウェイのスマホシェアはアップル並み。その影響力は?

 ファーウェイの事業規模は、おそらく日本人が想像している以上のものだ。まず、スマホ出荷台数シェアを見てみたい。2018年の第4四半期、ファーウェイは、16.1%で世界第3位につけている。これは、18.7%のサムスン、18.2%のアップルに次ぐ数字だ。さらに、移動通信設備の分野においては、スウェーデンのエリクソンを抜き、第1位となっている。ファーウェイは、単なる「スマホメーカー」と思われがちだが、売り上げの内訳は、約5割が通信事業者向けのネットワーク事業。そのため、著者は、ファーウェイを「世界最先端のテクノロジーを誇るハードウェアメーカー」と表現している。同じ「ものづくり」からスタートしたアップルは、iOSによってアプリのプラットフォーマーになった。そう考えてみると、この2社は随分異なる成長をしたことになる。

■なぜ「ファーウェイ・ショック」が起きたのか

 2018年末に起こった「ファーウェイ・ショック」。ファーウェイにかけられた疑いは、同社が製品を利用して不正な情報収集――すなわち、スパイ活動をしているのではないかというものだ。スパイ疑惑の明確な証拠は見つかっていないが、ファーウェイが中国政府や人民解放軍と深いつながりがあることは確かである。そして、これは当然、米中の貿易戦争と関係している…のだが、ことはそう単純ではない。著者の推測によれば、米国は、ファーウェイが米国やその同盟国において、通信基地事業展開(特に5G)で覇権を取ることを阻止したいと思っている。各所で行われているファーウェイの“締め出し”は、次世代の通信技術の世界に大きな影響を与えるだろう。

 本書は、分野によってはGAFA以上に力をつけているBATHの正体を解き明かしながら、最後に“日本への示唆”を展開する。成長し続

ける巨大IT企業と、彼らによって激変していく環境の中で、私たちにできることは何なのか。本書から、そのヒントが見つかるはずだ。

文=中川凌