「お金」と「幸運」の引き寄せ方を科学的に解説したら、驚くほどわかりやすくなった!

ビジネス

2019/6/13

『科学的「お金」と「幸運」の引き寄せ方』(小森圭太/PHP研究所)

  筆者がはじめて「引き寄せ」なる本を手にしたのは5~6年ほど前だったと思う。もうタイトルすら明瞭には覚えていないが、もとは海外の書籍でそれを翻訳したものであった気がする。やたらと回りくどい表現が多用され、実際のところさっぱり理解できなかった。当時は取引先がことごとく傾くという人生初のどん底を経験した時期で弱気になっていたこともあり、何というか「うまく足元を見られたな」と笑ってしまった記憶しか残っていない。そんな頃を懐かしく思い出しながら、「あれ? これはわかりやすいぞ!」と目についたのが『科学的「お金」と「幸運」の引き寄せ方』(小森圭太/PHP研究所)である。

 とはいえ、正直なところ本書も冒頭部分がわかりにくいかもしれない。それはまず量子論から入っているからで、第1章の量子論については深く理解しようとしないことが賢明だ。なぜなら、その先へ読み進む気が半減してしまうから。これは著者の小森圭太氏自身も書いている。深く考えずに「ふ~ん、そうなんだ」程度にとどめて読み進めていくと、次第に「え? ああ~~!」という感じで納得できるゾーンへと突入するので、はじめの辺りはとにかく気楽に読んでほしい。

 本書を読んだ感想を感じたままに言うと、これまで目にした引き寄せ系の書籍のわかりにくい部分の謎が解けたという印象。さらに、単純にお金や幸運というくくりだけではなく夫婦や職場などのさまざまな人間関係を解決できるヒントも得られる点が面白い。例えば、夫婦関係について悩んでいるとしよう。結婚してからパートナーの態度が変わってしまったとか、出産後に気持ちが変化したという悩みに対して「女性はこういう生き物だ」とか「男性は結婚するとこうだ」とか書かれている書籍は多いが、実際のところ、必ずしも全員に該当するわけではない。しかし、小森氏によると、それは相手との相対的な関係が変化したのだという。わかりやすく本書から抜粋すると、こういうことだ。

例えば、あなたはおばあちゃんからもらった指輪を、特に意識することなく時々はめていたとします。その指輪が今の価格で300万円を超えるものだとわかったらどうします?間違いなく、その指輪とあなたとの相対的な関係性も変わるはずです。その指輪はあなたにとって「大変な貴重品」となり、あなたは「そのような貴重品を持っている人」という現実に変化するわけです。

 もちろん、これは逆の例もあり得る。高価なものと思い込んでいた物が、実際は偽物であったというパターンだ。そう気づいた場合、それまで大切に扱っていた物が一気にどうでもいい物へと変化するかもしれない。しかし、偽物と知らなければ永遠に「高価な宝を持つ」という現実が続くことになる。このような例をいくつかあげ、小森氏は「現実は客観的で絶対的な事実ではない」のだと言う。確かにこのような思い込みというか意識が自分の世界を作っているという説明はわかりやすい。

 小森氏は、今ある幸せに気づくことも重要であると書いている。例えば、体の機能の1つと引き換えに5億円がもらえるとしたらどうするか? または他の何かと交換できるかどうかを本書の中で問いかける。これは実際に講演の中でも実験的に行っていることだそうだが、そう聞かれると確かに戸惑ってしまう。大金と健康を交換することなどできない。それはつまり、すでに5億円に相当する幸せを持っていると考えることができるのだそうだ。これにもハッとさせられた。

 本書は、潜在意識の変え方やお金の考え方についても、わかりやすい表現で解説する。個人的に「う~む」と思わずうなってしまったのは、お金は「すぐに」「楽に」の手段だと解説している点だ。お金がないと何もできないわけではないが、ただ時間がかかる。お金があればすぐに欲しいものが手に入るから、お金というものはやりたいことが楽に実現できる便利なツールに過ぎないのだと言う。そして、お金は苦労して得るものという思い込みを捨てることも重要だと解説している。これは日本人には苦手なことかもしれないが、呑気な筆者にとってはうってつけの考え方だ。

文=いしい