無駄にセックスをするのは人間だけ? 鳥と人間の離婚率を比べてみると? 動物と人間を全比較!

スポーツ・科学

2019/6/20

『生物学ものしり帖』(池田清彦/KADOKAWA)

 ある研究結果によると、男性は52秒に一度のペースで「性的なこと」を考えているそうだ。しかし、これは人間特有の事象なのかもしれない。人間以外の多くの生物にとって、交尾は非常に大きなリスクを伴う行動なのだ。エネルギーを使い、交尾中には無防備になる。そんな理由から、人間以外の生物は無駄なセックスを避けているのだ。

 こういった視点から生物について学ぶと、人間という動物の特殊さ、そして生物の興味深さがどんどんと浮き彫りになっていく。『生物学ものしり帖』(KADOKAWA)は、「ホンマでっか!? TV」などの番組にも出演する生物学者・池田清彦氏が、生物学についてわかりやすく綴った1冊だ。

■捕食者と被食者の“微妙な”関係

 ライオンがシマウマを捕食する映像を、テレビなどで見かけたことがあるだろう。しかし、実際はその捕食は成功するばかりではない。草食獣は簡単に肉食獣に食われてしまっては絶滅してしまうし、逆に滅多に捕食できなければ肉食獣は飢えて死んでしまう。狩りというのは、完璧にうまくても、まったく下手でも成り立たない“絶妙なバランス”で成り立っているのだ。

 実際にライオンとシマウマについて研究すると、捕食者(ライオン)の方が筋繊維が20%、加速能力が37%、減速能力が72%も高いことが判明したそうだ。理屈では身体能力的に上回っており、ほとんどのケースでライオンはシマウマを捕食することができるはずなのだ。

 しかし、実際そうはいかない。能力値とは裏腹に、実際の捕食可能性は30%程度であり、狙われた3頭のうち2頭は逃げ延びるそうだ。なぜ能力で劣るはずの草食動物は、ライオンから逃げ延びることができるのだろうか?

 蝶がゆっくりとしたスピードで飛んでいるにもかかわらずなかなか捕食されづらいのは、ひらひらと予想外の動きをすることによって、捕食されることを防いでいるおかげだ。被食者は捕食者が後ろに迫った瞬間、予測不能な動きをして身をかわすことができる。こうした動きによって、シマウマの場合にも身体能力では劣りながらもある程度の確率で逃げ延びているのである。

■鳥の離婚事情を覗いてみると――

 離婚問題で頭を悩ませるのは、どうやら人間だけではないらしい。鳥類の多くは一夫一妻で協力して子育てをするが、繁殖期間を終えると行動を共にすることはなくなるそうだ。アホウドリは死ぬまで一夫一妻を守り通す一方で、動物園で人気者のコウテイペンギンは85%の確率で離別するそうだ。

 鳥類の中でも、種類によって離婚率がバラバラな現状を知ると、人間の離婚率にもなんだか納得してしまう点がある。生物は多くの子孫を残すことを考える性質があるとすると、精力盛んな男性が「繁殖能力が高い」という点で若い女性に魅了されるのも、生物学の原理においては忠実な行動なのかもしれない。生物学の観点で人間の行動を分析すると、別の視点が生まれるのは不思議である。

 その他にも、海の生物が巨大化する理由や、希少野生動物を守るための方法、人類が氷河期を生き抜いた理由など、50以上にわたる興味深い生物学のトピックが満載されている。この本を読んだ後、あなたは人間についても少し詳しくなっているだろう。

文=うすいよしき