ストレスが人を太らせている!? 肥満を引き起こす“犯人”が判明した!

健康・美容

2019/6/22

『トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ』(ジェイソン・ファン:著、多賀谷正子:訳/サンマーク出版)

 本稿で紹介するのはいわゆる「ダイエット本」のようで、さにあらず。本書『トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ』(ジェイソン・ファン:著、多賀谷正子:訳/サンマーク出版)は、カナダ最大の都市トロント発の「肥満を治療する」ための1冊だ。

「治療っていうけど、肥満って病気なの?」と思う方もいるかもしれない。たしかに国のガイドラインなどでは、肥満は体脂肪が過剰に蓄積された状態と定義される。つまり、「状態」であって「病気」ではない。ところが本書では、肥満をおそるべき疾患で治療が必要なものだととらえる。そして、多くの専門家は肥満を治療することにはいっさい興味を抱いていない、と警鐘を鳴らすのだ。

■肥満を引き起こす“犯人”は誰?

 では、肥満の根本原因は何か? 本書は、全体の3分の1のページを割いて、その根本的犯人探しを始める。摂取カロリー、運動不足、食べ過ぎ、環境的要因…、そのすべてに著者は「NO」をつきつける。そして「ホルモンバランスの崩れが肥満の原因である」という仮説を立て、その論拠として多くの疫学(えきがく)データを紹介している(データを駆使した語り口は、実用書というより自然科学の本を読むようだ。さらにいえば、明晰な推理で犯人を追い詰める探偵小説の趣さえ感じさせる)。

 その数々の研究の結果、肥満との因果関係が認められたホルモンが2つあった。ひとつはインスリン、もうひとつはコルチゾールである。

 もっとも有名なホルモンのひとつ、インスリンは、膵臓(すいぞう)から分泌され、血糖値を下げる働きをもつ。糖尿病が進行すると体外からインスリン注射をしなくてはならないこともある。いわば糖尿病の救世主的なイメージがあるそのインスリンが、肥満の原因のひとつであるとはどういうことだろう? ここでも著者はイメージや先入観にとらわれず、客観的データを提示することで、そこから導き出される推理を展開する。本書の大きな山場のひとつだ。

 もうひとつのコルチゾール、こちらは闘争・逃走反応を引き起こすホルモンで、ストレスホルモンと呼ばれることもある。生物が生命の危機につながる恐怖を感じると、コルチゾールが分泌される。それがスイッチになり、闘うため、あるいは逃げるために体内のグルコース(血液中のブドウ糖)を使って筋肉にエネルギーが供給される。

 慢性的なストレスにさらされることが多い現代社会では、体内でつねに多量のコルチゾールが分泌され続けているそうだ。だが、野生環境ではないので、筋肉を動かすような場面は少ない。そうするとグルコースは使われないので、血糖値は高いままの状態となる。血糖値が高いままだとどうなるか? インスリンが多量に分泌されるのだ。ストレスにさらされ続けることの脅威はここにもあるのだ。

 このように本書では、肥満と関係のありそうな話題や、ダイエット法・ダイエットに効果的な食材などについてひとつひとつ丁寧に検証していく。本書後半にまとめられている著者が提案する「処方箋」も、「ホルモンバランスを崩すことが肥満につながる」という単純明快な理論さえ理解しておけば、とても頭に入りやすいだろう。その処方箋からいくつか紹介しておこう。

・「何回食べるか」は、“何を食べるか”より倍も問題
・豆を食べると糖が「おなら」になって出る?
・クレオパトラは「酢」を愛飲していた
・「間欠的ファスティング(断食)」なら確実にやせられる

 最後に、タイトルをもう一度確認。「やせるカラダ」ではなく「太らないカラダ」とある。つまり議論の主眼は、やせるための方法(=ダイエット法)というよりは、「やせた状態のまま、いかにキープするか」なのだ。リバウンド経験者こそ注目してほしい事実がここにはある。

文=高橋修/バーネット