子どもの「イヤイヤ期」や「やる気の上げ方」がマンガでわかる! 心の成長・発達心理学を理解しよう

出産・子育て

公開日:2019/6/27

『まんがでわかる発達心理学(こころライブラリー)』(渡辺弥生:監修、鈴村美咲:漫画/講談社)

 人間関係は不確定要素だらけで、だからこそ一喜一憂させられる。大人同士の人間関係だけでなく、親子関係も同じ。人の心理は謎だらけだ。自分の心理すら、正確に把握できているか定かではない。視覚化が難しい人の細やかな心理の一つひとつについて、まるでタグ付けされるかのように科学的説明がなされれば、私たちは人の心の機微をより正確に把握し、円滑な人間関係、あるいは親子関係を築きやすくなるかもしれない。

 生まれてから死に至るまでの生涯の心理について科学的に探求する“人を幸せにするための学問”が発達心理学。『まんがでわかる発達心理学(こころライブラリー)』(渡辺弥生:監修、鈴村美咲:漫画/講談社)は、発達心理学の専門書相当の用語や考え方を網羅しながら、それを私たち一般にもわかるよう子どもの年代別にストーリーマンガで解説する、意欲的な1冊だ。

■子どもの「イヤイヤ期」は成長の証?

 たとえば、子どもとの接し方で悩む人が多い、いわゆる「イヤイヤ期」。発達心理学では「第一次反抗期」に当たるが、本書では、それが日本だけではなく世界共通の発達段階であること、そして好ましい保護者の対応が、会話やエピソードを通してやさしく説明されている。

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■子どもの「やる気」を伸ばす秘策はある?

 さらに子どもが10歳くらいになると、“自分でやりたい”と思う感情が強くなる。これを「自己決定感」と呼ぶが、この時に親が先回りして「もっと勉強しなさい」「部屋を片付けなさい」などと言うと、自己決定感が失われてしまうことにつながる。

 ちなみに、この「自己決定感」と似たような語感の言葉に「自己効力感」「自己肯定感」があるが、いずれも「内発的動機づけ」と結び付いている。専門用語の「内発的動機づけ」は、チェスのたとえでイメージしやすく解説されている。

 また、別ページで紹介する関連用語ともひもづけられているので、筋道を立てて理解を深めやすくなっている。

■「子の自由を認める許容的な親」と「ただ無関心な親」は何が違う?

 また、10歳くらいになると、道徳性の面でも発達段階で節目を迎える。この頃の道徳性には、大人が決めたことや大人に言われたことは絶対に変えられないという考え方の「他律的道徳性」と、仲間との合意で決めるといった柔軟な考え方の「自律的道徳性」がある。同時に、同調行動が強まることにより、自律的道徳性が押さえつけられることもある。

 この時、「応答性」と「統制」という2つの態度の組み合わせによって、保護者の養育態度は4つに分類されるとしている。

●応答性:子どもの意見を聞き、感情を受容し、個性や能力を育成しようとする養育態度
●統制:子どもにとってよいと思える行動を決定したり強制したりする養育態度

(1)応答性、統制ともに高い→権威がある親(毅然とした親)
(2)統制が高く、応答性は低い→権威主義の親
(3)統制が低く、応答性は高い→許容的な親
(4)応答性、統制ともに低い→放任・無視・無関心な親

 親子関係や人間関係に悩んでいてより良くしたいと考えている人、あるいは人の心理に興味があるという人は、人の心やその成長を理解するヒントとして本書を読んでみることをおすすめしたい。

文=ルートつつみ