「かわいすぎて震える…!」アルマジロのジョンの甲羅とモフモフ腹毛に癒されよ!

マンガ

公開日:2019/6/25

『アルマジロのジョン from 吸血鬼すぐ死ぬ』(盆ノ木至/秋田書店)

 この春発売された『アルマジロのジョン from 吸血鬼すぐ死ぬ』(盆ノ木至/秋田書店)は、ギャグ漫画『吸血鬼すぐ死ぬ』のスピンオフ作品。ジョンはグッズ化されるほどの人気キャラクターで、本作はWEB連載中の「ほぼ日刊アルマジロのジョン」を書籍にまとめたものだ。

 大人気キャラクターの単行本化に「アルマジロってこんなかわいいの」「ボケが秀逸」「存在だけで癒される」と、そのかわいさと脱力系の笑いが話題になっている。

■世界一かわいいアルマジロは、すぐ死ぬ吸血鬼の使い魔

『吸血鬼すぐ死ぬ』は吸血鬼と吸血鬼ハンターとの戦いを描く物語だ。凄腕ハンターのロナルドは行方不明の子供を助ける依頼を受け、“真祖にして無敵”として知られる、吸血鬼・ドラルクの城にやってくる。

advertisement

 …こう書くとバトルもののようだが、『吸血鬼すぐ死ぬ』はギャグ漫画。それもとびっきりのドタバタギャグ作品なのだ。城にいたドラルクの正体は、ほんのちょっとしたことで即死んで塵と化す、史上最弱にして“超ザコ”な吸血鬼だった。

 全編にキャラクターのボケとツッコミが大量に詰め込まれたハイスピードな吸血鬼ギャグ漫画、それが『吸血鬼すぐ死ぬ』である。その中でちょっとしたアクセントになり、先にも書いた愛らしさと脱力系の笑いを誘うのがアルマジロのジョンなのだ。

 ジョンは世界一かわいく防御力の高いアルマジロ。そして吸血鬼の血を分けてもらった約180歳の使い魔である。凄まじい頻度で死に続けるドラルクに「ヌー」と健気につくし、時にはくるくると丸まり、時にはモフモフしたお腹の毛で癒してくれる。

 ちなみになぜ吸血鬼の使い魔がアルマジロかというと、映画『魔人ドラキュラ』にアルマジロが出ていたことに由来するらしい。(ルーマニアを舞台にした内容にもかかわらず、アメリカに生息しているアルマジロが出ている、というのはツッコミどころ)

■ジョンの日常に描き下ろしも多数収録

 本書はそんなジョンの行動をイラストエッセイのように描いている。全てのアルマジロ好き、かわいいもの好きな皆さんに届いてほしい。

「完ぺきにコードホルダーに擬態したジョン」「おかしなくしゃみをするジョン」「蒲団をかぶり、声を出しながら怖いTVをこわごわ見るジョン」

 こんなジョンのかわいさが満載…と、文章にするとオチも何もないように思えるかもしれないが、本書はジョンの日常のひとコマを切り取ったイラストに、WEB連載時にはなかったドラルクとロナルド目線の解説が追記され、その解説込みでしっかりとギャグとして成立させている。

 ちなみに本稿の筆者が個人的に気に入ったのは「クリームフランスを食べるジョン」だ。何を言っているかわからないかもしれないが、このページはぜひ本書で確かめてみてもらいたい。

 またジョンの行動解説の他にも、描き下ろしページをたっぷり収録。編集者クワバラのレポート。世界のアルマジロ(と似たもの)紹介。キュートな撮り下ろしのスナップ写真まである。WEBで楽しんでいた読者も間違いなく満足できる内容になっているのだ。

 アニメ化を期待したい作品としても話題の『吸血鬼すぐ死ぬ』。ますます笑いが加速していくこの作品の中で、「ヌヌヌー」と活躍し、読者も編集者も癒してくれるアルマジロのジョン。

 ファンの方もそうでない方も、ぜひほっこりしながらページをめくってみてはいかがだろうか。というか、ぜひチェックしてほしい。世界一かわいいのだから!

文=古林恭