80年も愛され続けてきた『トムとジェリー』 その誕生の秘密が盛りだくさん!

マンガ・アニメ

2019/6/26

『誕生80周年 トムとジェリー カートゥーンの天才コンビ ハンナ=バーベラ』(河出書房新社)

 2019年4月17日から5月6日まで百貨店・松屋銀座で開催されていた「誕生80周年 トムとジェリー展 カートゥーンの天才コンビ ハンナ=バーベラ」。米国を代表するアニメの一つである「トムとジェリー」は、2020年で誕生から80年を迎える。小生も幼少時から何度もテレビの再放送で見ており、とても愛着がある作品だ。現在でも映像ソフトや関連書籍が発売されているので子どもたちにも人気があり、展覧会の会場は親子連れをはじめ、老若男女幅広い層の観客で賑わっていた。

 本書『誕生80周年 トムとジェリー カートゥーンの天才コンビ ハンナ=バーベラ』(河出書房新社)は展覧会の公式図録である。ワーナー・ブラザース社が保存する貴重な原画やレイアウト、背景画が多数収録されており、当時の製作者たちの情熱が伝わってくる。

 まずは生みの親であるハンナ=バーベラについて紹介したい。一個人の名前だと思われるかもしれないが、実は演出担当のウィリアム・ハンナとストーリー担当のジョセフ・バーベラのコンビ名である。二人が出会ったのは1937年、当時の映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(以下MGM)の同期だそう。意気投合した二人が1940年に発表したのが「トムとジェリー」の記念すべき第1作、「上には上がある」だ。

左がジョセフ・バーベラ、右がウィリアム・ハンナ(以下、画像はすべて本書より)

 実はこの作品、当初はMGM社内で期待されていなかった。ネコとネズミのドタバタ追いかけっこは、当時としても古典的でありふれたモチーフだったからだ。しかし、いざ公開されると作品のテンポとコミカルさが大いに受け、観客から大好評だったという。当時、アニメーションは映画館で上映されるものだったのだが、その興行主から続編を望む電話もあったほどだ。評判は評判を呼び、後にアカデミー賞短編アニメーション部門を7作品が受賞している。

1950年代のポスターアート。トムとジェリー展のメインビジュアルにも使用

 では、そのアカデミー賞を取った作品とはいかなるものか。取り上げておきたいのはやはり「ピアノ・コンサート」だろう。ピアノを演奏しているトムを、ピアノの中にいたジェリーがそれを邪魔するエピソードだ。ジェリーにやられてばかりの印象のあるトムだが、意外と器用で楽器を演奏するエピソードがいくつかある。本作はその代表格だろう。

 トムの演奏に合わせてピアノのハンマーが生き物のように動き、ジェリーを翻弄する。この作品でピアノの仕組みを学んだ読者も少なくないのでは。個人的には、トムの演奏姿も忘れ難い。気取って登場し華麗な演奏を始めるが、ジェリーの反撃に追い詰められボロボロになっていく姿は、可哀そうでもあるが笑いが止まらない。

ジェリーの反撃開始、応戦するトム

 本書は「トムとジェリー展」の魅力が凝縮された一冊である。小生は銀座で展示を見てきており、その思い出を振り返るには十分なのだが、会場でしか見られない展示もあり一層楽しむことができた。東京会場は残念ながら終了しているが、2019年7月18日(木)から8月19日(月)まで大阪の大丸心斎橋店北館14階イベントホールで開催されるので、夏休みの思い出にぜひ親子で訪れてほしい。

文=犬山しんのすけ

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