『ガイアの夜明け』で話題! 営業時間3時間半、100食限定、残業ゼロ「佰食屋」の働き方改革

ビジネス

2019/7/3

『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』(中村朱美/ライツ社)

「営業わずか3時間半」「どんなに売れても100食限定」「飲食店でも残業ゼロ」──京都市の国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋(ひゃくしょくや)」は、そんな画期的な“働き方”を実践している。経営する中村朱美氏は『日経WOMAN』が選ぶウーマン・オブ・ザ・イヤー2019の大賞を受賞。現在京都に4店舗を構える。

 佰食屋は、営業時間が3時間半のランチのみ。どんなに売れても提供するのは決まったメニューを100食までで、残業はない。毎日同じものを同じ数だけ仕入れてその日に使うので、フードロスはほぼゼロ。毎日の目標は100食売り切って早く帰ること。売上を追い求めて従業員がストレスを抱えるということのない「超ホワイト企業」である。

『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』(中村朱美/ライツ社)は、社員の働きやすさと会社の利益を両立する佰食屋の、「業務至上主義」から解放された働き方が綴られた本だ。

 佰食屋の話を耳にした人は、こう思うかもしれない。「残業ゼロなんて、うちは業種も規模も違うから無理」「佰食屋だからできるんでしょ?」「同じだけテナント料を払うなら、なるべく長い時間、できるかぎり商売しよう」…しかし、中村氏はこう断言する。「そもそも就業時間以内に利益を出せない商品とか企画ってダメじゃないですか?」と。

これは佰食屋でないと実現できないことなのでしょうか。(中略)では、そもそも経営者はなぜ、従業員に残業を強いているのでしょうか。従業員もなぜ、「長時間働くのが当たり前」だと考えているのでしょうか(中略)基準を大幅に超えて、従業員が必死に働いて維持している商品やサービスは、たとえ多くの人に支持されて、たくさん売れたとしても、「誰かが犠牲になっている」という事実は消せません。就業時間内に利益が出せない事業なんてやめてしまえばいい、と思います

 売上を減らす経営、それが中村氏の選んだスタイルだ。100食の決まったメニューという制約を作ることで、時間もコストも減らし、子育てや介護、趣味や副業をしたい人が働きやすくなる。調理や接客をパターン化して誰でもできる形にすることで、コミュニケーションが苦手な人や身体的に何か不自由なことを抱えている人でも仕事ができる。給料も適正で、賞与は年3回。アルバイトにも賞与がある。従業員が売上を追い求めずに済む分、それぞれ自分なりに客への気配りを考える余裕ができるのだ。

 従業員として必死に売上を伸ばしても、その分が自分に還元されていると感じている社会人はどれだけいるだろうか。前年比の売上を上回るために苦労したからといって、必ず報われるわけではない。「みんなが売上を追いかけてうまくいっていないのなら、もうそれを追いかける必要なんてない」と中村氏は言う。社員を犠牲にしてまで追うべき数字なんてない───それが彼女の提案する現代のビジネスモデルだ。

文=ジョセート