「カレシ、交換してみる?」交わることのない陽キャ&陰キャ同士のカップルに起こる興奮必至の恋物語

マンガ

更新日:2019/7/13

『ヒメコウカン~オタサーの姫がカレシ交換をご所望な件~』(大井昌和/小学館)

 突然だが、想像してほしい。親友から「自分の恋人とあなたの恋人を交換してほしい」と言われたとしたら、あなたは興奮するだろうか。もし1mmでも興奮したのであれば、ぜひこのマンガを読んでほしい。『ヒメコウカン~オタサーの姫がカレシ交換をご所望な件~』(大井昌和/小学館)だ。

 本作の主人公となるのは大野須佐(おおの・すさ)、此花咲也(このはな・さくや)、蛭子巫女(えびす・みこ)、亜麻根初音(あまね・はつね)の4人。彼らはW大学にあるオタサーに所属している。咲也と巫女はオタサー内でも中心的存在の陽キャオタカップルで、須佐と初音は陰キャのオタカップル。一見交わることがなさそうだが、ひょんな出来事が4人をインモラルな世界へと誘う。

 五月祭終了後の夜、巫女は須佐を強引に部室へと連れ込み、冬コミの準備期に、部室での須佐と初音の営みを見たこと、その時の“須佐ジュニア”の大きさに興奮したことを突然告げる。興奮を抑えきれず服を脱ぐ巫女。須佐にとってもオタサーの中心女性とヤれるこの上ないチャンスだった。しかし脳裏には初音の顔がちらつく。咲也も彼の親友だし、そもそもここは部室だ、バレてしまう! 須佐の予想は的中。ふたりを探しに来た咲也と初音に、須佐は覚醒したジュニアを、巫女ははだけた姿を見られてしまう。

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 作中で描かれた部室での出来事は修羅場そのものだ。当事者には決してなりたくない。しかし、咲也は誰もが予想もしない意外な反応を見せる。

“…やべぇ、親友にNTR(寝取られ)…キタコレ!”

 咲也はNTR(寝取られ)モノが好きなオタクだったのだ。一方、現状の出来事に戸惑う初音に、巫女はそっとつぶやく。

“じゃあサク(咲也)と交換してみる、亜麻根っち?”

 巫女は人を弄ぶ天才だ。初音は拒否しなかった。心の底から嫌がっていないことを知っていたとでもいうのか。巫女の好奇心から起こった事件は、思いもよらない結末となる。

 部室での出来事は、良くも悪くも4人の関係をより深めていく。本来なら絶縁状態になってもおかしくないはずだが、4人は逆に隠れた本性を少しずつさらけ出すようになる。こと初音にいたっては須佐が驚くほどさまざまな表情を見せたり、Hに関しても大胆かつ積極的な行動をとったりするようになっていく。

 本作で描かれる4人の中心にいるのは巫女だ。3人はこれからも巫女にとことん弄ばれていくことが容易に想像できる。そして1巻では行われなかった「ヒメコウカン」は、いつどこで行われるのか。陽キャと陰キャのインモラルな世界を描いたこのマンガの最大の楽しみであることは間違いない。

文=トヤカン