毎分、毎秒、ドキドキが止まらない!突然はじまった、好きな彼との“疑似家族生活”の行方は?

マンガ・アニメ

2019/7/12

『好きな彼のパパはじめます』(大原ロロン/スクウェア・エニックス)

 誰かを好きなったときに、「自分を知ってほしい」「相手ともっと親密になりたい」と感じるのは本能のようなもの。近づきたいと願うなかで顔見知りから友達に、友達からパートナーに、パートナーから生涯寄り添う仲に、と少しずつ関係も変化していく。しかし、そのステップを全て飛び越えてしまったら……? 『好きな彼のパパはじめます』(大原ロロン/スクウェア・エニックス)の主人公と同じように、あたふたしてしまうに違いない。

 本作の主人公は、高校1年生の時田百合子(ときた・ゆりこ)。彼女は、クールな雰囲気と王子様のようなルックスから“氷のプリンス”というあだ名を持つ、クラスメイトの晃(ひかる)に片思いをしていた。ある日、晃に手紙を渡そうと走っていた百合子は、ジャージに身を包んだ冴えないオジサンと正面衝突。気が付くと、お互いの身体が入れ替わってしまっていた。ひょんなことからオジサン生活を余儀なくされる百合子だったが、なんとそのオジサンは偶然にも晃のお父さん。百合子は、片思いをしている相手のパパになってしまったのだ。

 好きな人とひとつ屋根の下で暮らし始めた百合子は、毎分、毎秒、ドキドキが鳴りやまない。ときにはお風呂上がりの晃の半裸姿に、顔を赤らめながら大はしゃぎだ。しかし、パパ生活が数日過ぎた頃、晃たち家族の意外な一面を知る。氷のプリンスとして完璧なオーラを漂わせている晃は、早くに母親を亡くし、現在は父1人子6人で暮らしていた。そして、肝心なオジサンが“クソニート”であるため、かわりに晃がアルバイトをして生計を立てていたのだ。

 晃の思いもよらない家庭事情を知った百合子は、兄弟たちの前で宣言する。

“ずっと大変だったんだね 勝手なイメージ持っててごめん!”
“私働く!晃くんのお父さんとしてちゃんと!!”

 様子の違う父親に戸惑う晃たちを見つめながら、百合子は身体が元通りになるまではちゃんとした父親でいることを決意するのだ。

 本作は、第3章「我が子に彼女作ります」以降は、4コママンガ調に物語が進む。パパになった百合子と女子高生ライフを謳歌するオジサンの毎日がテンポ良く展開されていく仕掛けだ。そして終盤では、ふたりが入れ替わった秘密もついに明らかに……。

 思わず目が潤むラストを楽しみに、百合子たちの繰り広げるドタバタ“疑似家族”コメディを読み進めてほしい。

文=山本杏奈