スパイスカレーは自由だ!今話題の「流しのカレー屋」が教える絶品スパイスカレーのレシピとは

食・料理

公開日:2019/7/13

『スパイスでおいしくなる and CURRYのカレーレッスン』(阿部由希奈/立東舎))

 東京で「流しのカレー屋」として活動する「and CURRY」をご存じだろうか? and CURRYを主宰する阿部由希奈さんは、とにかくカレー愛が止まらない女性。週に2日はあえてカレーを食べない日を設けているというほどカレー漬けの毎日を送っている。店舗を持たずいろいろなお店を間借りして、イベント形式でさまざまなカレーを提供してきた彼女だが、2018年には活動の拠点となるキッチンを持ち、そこで週に数回カレーを提供するようになったという。『スパイスでおいしくなる and CURRYのカレーレッスン』(阿部由希奈/立東舎)は、そんな阿部さんの絶品カレーレシピを紹介した話題の一冊だ。

 本書で紹介されているのは、すべてスパイスから作るカレーばかりだ。昨今巷でブームとなっているスパイスカレーだが、自分で作るとなるとハードルの高さを感じるだろう。彼女自身、初めは料理がまったくできなかったそうだが、本を見ながらまずは3種類のスパイスでカレーを作り始めたという。そのうちカレーの自由さにはまり、どんどんスパイスを買い足していってオリジナルのレシピも考案するまでになったのだ。

 本書で紹介してあるカレー作りの流れは、(1)油にホールスパイスの香りを移す、(2)しょうが、にんにく、玉ねぎなどのスタメン食材を炒める、(3)パウダースパイスを加える、(4)メイン食材とスープを加えて煮込む、(5)塩で味を調える、というもの。この流れを押さえておけば、ホールスパイスとパウダースパイスの種類や量を変えたり、メインの食材を変えたりすることで、無限大にカレーが作れるというから驚きだ。「和風チキンカレー」では、水の代わりにかつお節の出汁を使用するという技を披露し、カレーにコクをプラスしている。さっそくこちらのカレーを作ってみたが、家族にも好評で「また作って」とせがまれてうれしくなった。

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 本書ではクミンやコリアンダー、ターメリック、レッドチリなどの基本スパイスからスタートし、後にシナモン、フェヌグリーク、クローブなどを使うカレーレシピが紹介されている。スーパーなどでも購入できるものばかりなので、あまり気負わずに挑戦できるのも魅力だろう。酸味のある「和風ポークビンダルー」やドライベリーをたっぷりと使用した「ベリーベリーキーマ」、「キウイとスペアリブのカレー」など、どれも作ってみたいレシピばかりで腕が鳴る。

 カレーに変化をつけるのは、何もメイン食材やスパイスだけではない。著者がスタメン食材と呼ぶ玉ねぎやしょうが、にんにくなどの切り方を変えるだけでもまったく異なるカレーができるのだ。たとえば、玉ねぎを具材として食べたいのであれば櫛形切りやスライスにし、甘みをカレーに溶け込ませてとろみもつけたい場合はみじん切りにする。しょうがとにんにくも、粗みじん切り、みじん切り、すりおろしと、目的に応じて切り方を変える。また、カレーに欠かせない食材・トマトに関しては、フレッシュトマト、ミニトマト、ホール缶、カットトマト缶、トマトピューレ、トマトケチャップなど、それぞれに異なる風味や旨みを持つため、季節とも相談しながら使い勝手が良いものを選ぶといいだろう。

 本書にはカレーレシピだけでなく、カレーに合うご飯の炊き方や副菜レシピ、ドリンクやデザートのレシピまで掲載されているので、カレープレートを作って家族や友人をもてなしてみてはいかがだろうか。本格的な絶品カレーに、きっとみんな驚くに違いない。スパイスカレーはお店で食べるものと思っていたカレーファンにはぜひとも本書を開いてカレー作りを体験してもらいたい。あまりの手軽さにきっと驚くはずだ。

 あるテレビ番組で阿部さんが紹介されていたときから注目していたのだが、レシピ本を購入して大正解だった。何度でも繰り返し作れば、そのうち自分のオリジナルカレーを作れる日もそう遠くないだろう。本書は、一度コツを掴めば無限の可能性を秘めたスパイスカレーの世界への扉を開いてくれるはずだ。

文=トキタリコ