父親だからできる役割もある! 女の子の子育てで迷わないためのヒント

暮らし

2019/7/23

『父親が知らないとマズイ 「女の子」の育て方』(高橋博/秀和システム)

 子育てはいつの世も悩ましいものだ。親が子どもを完全に理解することはできないし、わからないことだらけで途方に暮れることもある。なかでも、父親から見た「女の子」というのは、本当に理解が難しい。世代が違うだけではなく、性別まで異なる我が子に対して「どう接すればいいのかわからない」と頭を抱える人も多いだろう。そして、最後には母親に全部任せてしまうという選択をする父親も少なくないのだ。しかし、本当にそれで良いのだろうか?

『父親が知らないとマズイ 「女の子」の育て方』(高橋博/秀和システム)は、父親が娘に接する際のポイントを教えてくれる1冊だ。女の子にとって、父親は微妙な立ち位置の存在である。小さい頃は単純に甘えることができても、成長すれば自然と距離を置き始めてしまう。もっとも大きな原因は、性別が異なること。自分の性別を意識する年頃になれば、女の子は異性である父親との距離感を見失ってしまうというのだ。

 しかし、そこで父親が「嫌われているのか」と感じて、コミュニケーションを諦めてはいけない。なぜなら、女の子は父親を嫌っているというよりも、「どう接すればよいのかわからない」と感じているからだ。それは父親が年頃の娘に抱く悩みと同じである。だからこそ、むしろしっかりとしたコミュニケーションを通じて、信頼関係を築いていくことが必要だというのだ。

 ただし、父親に対して異性を感じている娘がいる以上、幼い頃と同じように接してはいけない。むやみにスキンシップを求めるべきではないし、裸同然の格好で部屋を歩き回るのも避けるべきだ。「家族だから恥ずかしがることはない」などと考えるのは、本当に娘から避けられる理由になる。相手を1人の人間として、そして1人の女性であると考えて、節度をもって向き合うことを大事にしなければならない。

 また、父親が娘と向き合ううえでもう一つ配慮するべき重要なポイントとして、「時代が違う」という点があるという。父親が育ってきた時代と、娘が生きていく時代は異なる。かつては「良妻賢母」になることこそ女性の美徳とされていたが、これからは男性と同様に社会で活躍できる人間として成長することが求められている。しっかりとした学びが必要であり、高い能力や技術を身につけることも欠かせない。そんな世界を生きるだろう娘に対して、自分の古い考え方を押しつけても、「幸せ」への道を閉ざしてしまうだけだろう。

 父親には父親にしかできない役割がある。だが、多くの父親はそれがわからないために、母親に子育てのほとんどを預けてしまいがちだ。そして、何か問題が起これば、「母親の責任だ」と言い出す。しかし、本来の子育てとは両親が責任を担うべきものである。それは何も子どもに付きっきりになるという意味ではない。家庭のなかの何気ない会話も、仕事に対して真剣に向き合う姿も、そして子どものことをやさしく見つめている時間も子育てなのである。

「良い大学に入れれば大丈夫だ」「女子校に預ければ問題は起こらない」「女の子なら高学歴は必要ない」といった思い込みは、本来見るべき娘の姿を曇らせるだけだろう。目の前にいる我が子を1人の人間として認め、相手を理解するためにしっかりとコミュニケーションを図ること。そして、その子に合った育て方を探すのである。

 そうはいっても、多くの親にとって子育てに不安も多いはずだ。本書はそんな「子育てに悩む親」のためにある。父親の方から娘に接するためのコツだけではなく、子育て全般についても通用する内容も盛り込まれている。親というのは、子どもにとって一番影響を受ける存在だ。しかし、何もそこまで気負う必要はない。子どももまた、「親は自分とは違う1人の人間である」と理解していれば、自然と関わり方も見つけられるだろう。本書は、子育てが親と子どもの人間関係であることを再確認させてくれる1冊だと言える。

文=方山敏彦