少女のけなげさに涙腺が決壊! 赤川次郎氏・宗田理氏も絶賛の小説『八月のひかり』

文芸・カルチャー

公開日:2019/7/26

『八月のひかり』(中島信子/汐文社)

 「三毛猫ホームズ」シリーズの著者、赤川次郎氏。そして、「ぼくらの七日間戦争」シリーズの著者、宗田理氏。国民的大ベストセラー作家といっても過言ではないこの二大作家に、今、激賞されている小説がある。『八月のひかり』(中島信子/汐文社)だ。

少女の夏休みを描いた感動作

 主人公は小学校五年生の少女、美貴。夏休みだというのに、美貴は友だちと遊ぶこともなく、働くお母さんのかわりに狭いアパートで家事をして過ごしている。その理由は、「いつもおなかがすいているから」。美貴の家は、今日の食事も満足に手に入らないほどの貧困状態にあるのだ。

 こんなに貧しい家庭が今の日本に本当にあるのか、と思わないでほしい。現代の日本では、17歳以下の子どもの7人に1人、およそ270万人が貧困に苦しんでいると言われている。子どもの貧困は、日本社会が抱える大問題なのだ。

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『八月のひかり』では、貧困という難しいテーマが描かれているが、作品の読み心地は非常にさわやか。けなげな美貴と、無邪気な弟の勇希、2人の子どもを照らす真夏の日射しがまぶしく、母子3人の家族の絆が美しく胸にせまってくる。少女の夏休みを通して、現代の子どもたちを取り巻く根深い問題と社会のありかたを問いかけながら、忘れかけていた大切な何かを思い出させてくれる、そんな小説だ。

赤川次郎氏、宗田理氏が絶賛!

 宗田理氏は、「この物語は真夏の風景の一角を切り取ったようなさわやかさがいい。この物語の主人公である美貴という少女のいじらしさ、かわいさ、けなげさに惹かれて最後まで一気に読み通してしまった。こんな少女にはじめて出会った」と絶賛。

 社会の問題に常に鋭い意見を投げかけている赤川次郎氏は、「今の日本には、美貴や勇希が大勢いる。色んなつらさに耐えて頑張っているこの家族に、誰もが感動するだろうが、私たちは同時に、怒らなければならない。こんな世の中は間違っている、と」とコメントを寄せている。

★赤川・宗田両氏の絶賛のコメントは、汐文社ホームページで全文掲載中

 著者の中島信子氏は児童文学作家であり、この本は子どもから大人までが読めるようになっている。小学生の読書感想文にもおすすめだ。

 どの世代が読んでも落涙まちがいなしの『八月のひかり』、この夏、絶対に読みのがせない一冊としてチェックしよう!

著者プロフィール:
中島信子
 1947年長野県生まれの児童文学作家。出版社勤務などを経て創作活動に入る。主な著作に『薫は少女』『お母さん、わたしをすきですか』『さよならは霊界から』など。本書『八月のひかり』は20年ぶりに発表した新作長編。